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「株主」の権利は「財産権」と「経営権」です。中小企業では自社株式の大半を経営者が保有しています。なので、普段の経営で「財産権」と「経営権」を意識することは少ないです。しかし、事業承継をする際は重要になります。自社株式の贈与を行う前におさえておきたい事を紹介します。
【「株主」の権利は「財産権」と「経営権」】
◆財産権とは
株を保有していることで得られる「お金を得られる権利」です。
具体的には、株の配当や会社清算時に残余財産を受け取る権利のことをいいます。
◆経営権とは
経営権とは、株主総会の決議を通して「会社全体の経営判断を行なえる権利」です。
具体的には以下のようなことをいいます。
(1) 会社の経営方針・事業内容を決定する
(2) 役員の任命や従業員の異動等、会社の組織体制を決定する
(3) 会社の資産の活用・管理について決定する
経営権と株式の保有割合(持株割合)とは密接に関連があり、持株割合が高いほど行使できる権利が増し、経営への影響が大きくなります。
そのため、事業承継を考える場合、「いつ」「どのタイミングで」「どのくらいの株式を渡すか」について、財産権と経営権を考慮しつつ、長期的な展望で後継者に贈与することが重要です。
<持株割合と株主が行使できる権利>
持株割合 | 3%以上 | 33.4%以上 (1/3超) | 50%超 (1/2超) | 66.7%以上 (2/3以上) |
---|---|---|---|---|
株主が行使できる権利 | 取締役に対して株主総会の招集を請求することが可能。 会社の会計帳簿の閲覧やコピーを請求することができる。 | 単独で株主総会の特別決議※1を否決(阻止)することが可能。 | 株主総会の普通決議※2を単独で可決することが可能。 ほとんどの会社の意思決定を行なえるようになる。 | 普通決議※2だけでなく、特別決議※1も単独で可決することが可能。 中小企業の場合、安定した経営のために2/3以上の保有割合を維持することが理想とされる。 |
※1 特別決議:企業の基本的な経営方針や組織形態、構造を大きく変えるような重大な決定。「定款の変更」「会社の合併」「事業の譲渡」「増資」「会社の解散」など。
※2 普通決議:企業の日常的な運営に関わる重要な決定。「役員報酬の変更」「取締役・監査役の選任」「取締役の解任」「配当の決定」など。
【株式贈与の前にやっておきたい3つのこと】
1.自社株評価
上場していない中小企業の株式にも株価はあります。
相続や贈与の場合、「財産評価基本通達」に従って株価を算定します。
その算定方法は会社規模によって異なりますが、一般的には、時価評価した会社の純資産額のほか、類似業種の株価を基礎にして、1株あたりの配当金や利益等の様々な要素を加味して算定されます。
単年度の損益が赤字であったり、資本金が少額であっても、含み益その他の要因により、株価が思いのほか高くなることがあります。
株価が高すぎると、後継者の税負担が重くなってしまうことがあるため、適切な対策を行うことが必要です。
<自社株評価を行うべき企業>
次の項目に1つでも当てはまる場合は、自社株評価を行うことをお奨めします。
□ 社長(または会長)が自社株式の大半を保有している
□ 貸借対照表の「純資の部」の合計が1億円を超えたり、「資本金」の5倍以上になったりしている
□ 会社で所有している土地や有価証券等があり、それらの含み益がある
□ ここ数年、自社株評価をしていない
2.名義株等の整理
平成2年の商法改正以前は、株式会社の設立には7人以上の発起人(株主)が必要でした。
そのため、創業者が設立資金を100%出資しても、家族や親族等の名前を借りて株主になってもらうケースがありました。
このような「名義株」は、特に社歴の長い会社で見られることがあるので注意しましょう。
株主名簿や法人税申告書別表二「同族会社等の判定に関する明細書」を確認し、名義株主の記載がある場合には、その発生経緯を確認し、名義株主の合意を得て本来の出資者へ株を移転させるなどの対応が必要です。
また、経営権をめぐるトラブルを避けるために、経営に関わらない親族等に分散された株式の買い取りなども検討しましょう。
3.株式譲渡制限の有無を確認
譲渡制限の有無は、定款で定める項目で、登記事項証明書で確認することもできます。
中小企業では、株式譲渡に関する制限条項を設けているケースが多く、株式の異動がある場合には、取締役会等での決議・承認が必要になります。
きちんと議事録で決議・承認がなされた旨を記録しておくようにしましょう。
株式の贈与や譲渡後には、株主名簿を最新のものに書き換えることも必要です。
【自社株式の贈与は慎重かつ計画的に】
事業承継における自社株式の贈与は多くの場合、(1)暦年課税制度、(2)相続時精算課税制度で行います。
また、令和9年12月31日までは、「特例事業承継税制」を活用することも可能です。
自社株式の贈与には時間がかかることもあります。
複数年にわたる贈与は、毎年、自社株式の評価を行い、計画性をもって慎重に進めることが必要です。
パート・アルバイトで働く人の中には、「扶養の範囲内」で働くことを考えている人がいます。税金と社会保険それぞれの扶養に影響のある年収のライン、いわゆる「年収の壁」について従業員に説明し、どのラインを扶養の範囲内と捉えているのか確認しましょう。
【所得税・住民税】
◆配偶者の扶養から外れるのは
年収にかかる税金には、所得税と住民税があります。夫婦共働きで、妻が給与収入のみのケースでは、妻の年収によって、かかる税金や夫が受ける配偶者控除等に影響があります。そのラインは「100万円」「103万円」「150万円」「201万円」です。
※夫と妻が逆の場合もあります。
◆100万円の壁【住民税が課税】
年収が100万円(自治体によって93万円~100万円)を超えると住民税が課税されます。
◆103万円の壁【所得税が課税】
年収が103万円を超えると、税法上の扶養から外れ、妻本人に所得税が課税され、夫は配偶者控除を受けられなくなります。ただし、妻が年収103万円超201万6,000円未満であれば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、妻の年収が150万円以下までは配偶者控除と同額の控除が受けられるため、夫の手取り収入に影響はありません。
配偶者控除・配偶者特別控除は、夫の年収によって控除額が異なります。年収(目安)1,195万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は受けれらません。
◆150万円の壁【配偶者特別控除の額が段階的に縮小】
妻の年収が150万円を超えると、夫が受ける配偶者特別控除の額が段階的に縮小し、妻の年収が201万6,000円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。
◆201万円の壁【配偶者特別控除が無くなる】
妻の年収が201万6,000円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなり、夫の手取り収入が減ることになります。
◆副業等で「103万円」を超えることも!
年収103万円以下であっても、給与所得以外の収入があると、一時所得や雑所得、譲渡所得となって、所得税が課税される「103万円の壁」を超える可能性があります。
FXや暗号資産の取引、フリマアプリ等で20万円以上の所得がある場合は注意しましょう。
生活に通常必要な家具、衣服、食器等の生活用動産の譲渡による所得は非課税ですが、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝飾品、美術品等の譲渡については課税されます。
また、生命保険の一時金、損害保険の解約返戻金、懸賞金、競馬や競輪の払戻金等による収入がある場合も注意が必要です。
【社会保険】
◆令和6年10月から適用範囲が拡大
最近は、手取り収入を増やすために「年収の壁」を超えて働くケースが増えています。
「103万円」を超えて働く場合には、社会保険の扶養の範囲を確認しておきましょう。その目安となるのが、「106万円」「130万円」です。
◆106万円の壁【社会保険の適用】
妻の年収が106万円(月額88,000円:年収105.6万円)以上の場合、一定の条件に該当すると社会保険上の扶養から外れ、妻本人の勤務先の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入して保険料を支払うことになります。
適用対象となる事業所の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が、令和6年10月から「51人以上」に引き下げられ、適用範囲が拡大しているので、注意しましょう。
<適用条件>以下の5つ全てを満たしている
妻の年妻の年収が130円以上になると、原則として、勤務先の従業員規模等に関係なく、社会保険上の扶養から外れ、自身で国民年金・国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。
「年収の壁」と、税金の扶養の範囲、社会保険の扶養の範囲は上記の図表で確認してください。
【政府の「年収の壁」対策】
政府は「年収の壁」を意識せずに働ける環境整備に力を入れています。
「社会保険適用拡大特設サイト」、「年収の壁・支援強化パッケージ」が厚生労働省から示されています。
「106万円の壁」「130万円の壁」への対応として、事業主向けの支援策が用意されています。活用できる支援策を確認し、従業員が繁忙期に就業調整してしまうことへの対応をしましょう。
これからは、扶養の範囲内で働くよりも、世帯収入を増やす働き方が主流になるかもしれません。
インボイス制度が始まって1年が経過しました。インボイス発行事業者間の取引については、実務上の混乱は少なくなってきましたが、注意が必要なのは免税事業者との取引です。免税事業者から受け取る請求書・領収書等が経過措置の適用要件を満たしているか、再点検しましょう。
【免税事業者からの仕入に係る経過措置】
◆原則:買手は仕入税額控除ができない
インボイス制度では、買手が仕入税額控除の適用を受けるには、原則として、売手が発行したインボイスの保存が必要です。
したがって、免税事業者や適格請求書発行事業者の登録を受けていない課税事業者のようにインボイスを発行できない取引先からの課税仕入については、原則として、仕入税額控除の適用を受けることができません。
◆経過措置:令和11年9月30日までは一定割合の仕入税額控除が可能
免税事業者等からの課税仕入であっても、令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%、令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%について、仕入税額控除を受けることができます。
ただし、この経過措置の適用を受けるためには、次のことが必要です。
(1)請求書・領収書等に消費税込みの請求金額・領収金額(「区分記載請求書等保存方式」の記載事項)が記載されていること
(2)帳簿に「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入である旨の記載
免税事業者等との取引においては、メールや建設業等で使用される出面、請求書の形式が整っていない文書等のやりとりだけで済ませてしまうこともあるかもしれません。
基本的には、請求書・領収書等に上記(1)の内容が記載されていれば問題ありません。しかし、「本体価格のみ」など、記載要件を満たしていない請求書等※の場合や、請求書等が発行されていない場合には、仕入税額控除(経過措置の適用)が受けられないので注意しましょう。
※免税事業者等から受け取った請求書等に不備があった場合、一部の記載事項に限り買手側が追記して保存することが認められています。
記載要件が満たされている請求書等であるかどうか、きちんと確認することを徹底しましょう。
【令和8年9月30日までに仕入先と交渉しましょう】
経過措置が終了すると、買手は仕入税額控除が受けられなくなります。その結果、消費税の納税額が増加することになります。
そのため、控除割合が80%から50%に引き下げられる令和8年9月30日までに、取引条件等を含めた仕入先との交渉の機会を持つことを検討しましょう。仕入先との交渉にあたっては、下請法や独占禁止法、フリーランス法等が定めるルールに違反しないようにしなければなりません。
【経過措置の適用を受けるための「帳簿・請求書等」の要件】
免税事業者等からの課税仕入に係る経過措置の適用を受けるためには、次のとおり一定の事項が記載された「帳簿」および「請求書等」の保存が必要です。
〔1〕帳簿
「区分記載請求書等保存方式」の記載事項に加え、例えば、「80%控除対象」「免」など、経過措置の適用を受ける課税仕入である旨の記載が必要です。具体的には、次の事項です。
発注業者(業務を委託する事業者)とフリーランス事業者(業務を受託する事業者)との取引の適正化等を目的とした「フリーランス法」が令和6年11月1日に施行されます。発注事業者が守るべき最大7つの義務項目を確認し、スムーズな取引に向けて必要な準備を進めましょう。
【発注業者が守るべき「7つの義務項目」】
「組織」である発注事業者と、「個人」として業務を受けるフリーランス事業者との間には、交渉力や情報収集力等に格差が生じやすいです。そのため、フリーランス事業者は弱い立場に置かれることが多くあります。
そうした状況の改善のため、令和6年11月1日から施行されるのが「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆる「フリーランス法」です。この法律は、原則として、事業者間(B to B)における委託取引を対象としています。
事業者間委託取引の例
●社内広報/商用の写真撮影をフリーカメラマンに委託する
●Webデザイン・パッケージデザインをフリーデザイナー/イラストレーターに委託する
※消費者からの委託や売買契約は含まない
「フリーランス法」では、発注事業者がフリーランス事業者に対して課すべき最大「7つの義務項目」が定められました。ポイントは、発注事業者が満たす要件によって、遵守すべき義務項目が異なることです。
なお、義務項目(1)「書面等による取引条件の明示」については、「個人事業主」や「フリーランス事業者に業務委託するフリーランス事業者」など、従業員を使用していない事業者が業務委託を行なう場合にも遵守すべき義務項目とされていますので注意が必要です。
【義務項目に違反した場合】
公正取引委員会・中小企業庁長官・厚生労働大臣から違反行為についての助言・指導・報告徴収・立入検査・勧告・公表・命令
【命令違反や検査拒否等をした場合】
50万円以下の罰金が科される可能性
法人両罰規定により、同法に違反した場合、違反行為をした行為者だけでなく事業者にも罰金刑が科される可能性があります。
また、同じフリーランス事業者に業務を委託する場合であっても、一定期間以上の業務委託なのか、単発の業務委託なのかで発生する義務項目は異なるため注意が必要です。
【スムーズな発注のために施行までに準備をしましょう】
令和6年11月1日の施行日までに次のようなことを社内でチェックし、必要に応じて業務フローや委託内容等を見直して、書面等を準備しましょう。
□「フリーランス法」の適用対象となる取引先は誰か
□ その取引先に、どのような内容の業務を、どの程度の期間で依頼しているか
□ 報酬の額はいくらか、また支払期日はいつになっているか
□ 依頼している業務内容の条件等は適正か、見直すべき点はないか
【発注事業者が満たす要件と発生する義務項目】
【「7つの義務項目」の具体的な内容】
(1)書面等による取引条件の明示
業務委託した場合、書面等により、直ちに、次の取引条件を明示すること
●業務の内容
●報酬の額
●支払期日
●発注事業者・フリーランス事業者の名称
●業務委託をした日
●給付を受領/役務の提供を受ける日
●給付を受領/役務の提供を受ける場所
●(検査を行う場合)検査完了日
●(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項
(2)報酬支払期日の設定・期日内の支払
発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払うこと
(3)禁止行為
フリーランス事業者に対し、1か月以上の業務委託をした場合、次の7つの行為をしてはならないこと
●受領拒否
●報酬の減額
●返品
●買いたたき
●購入・利用強制
●不当な経済上の利益の提供要請
●不当な給付内容の変更・やり直し
(4)募集情報の的確表示
広告等にフリーランス事業者の募集に関する情報を掲載する際に、
●虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならないこと
●内容を正確かつ最新のものに保たなければならないこと
(5)育児介護等の業務の両立に対する配慮
6か月以上の業務委託について、フリーランス事業者が育児や介護等と業務を両立できるよう、フリーランス事業者の申し出に応じて必要な配慮をしなければならないこと
※やむを得ず必要な配慮を行うことができない場合には、配慮を行うことができない理由について説明することが必要
(6)ハラスメント対策に係る体制整備
フリーランス事業者に対するハラスメント行為に関し、次の措置を講じること
●ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発
●相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
●ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 など
(7)中途解除等の事前予告・理由開示
6か月以上の業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、
●原則として30日前までに予告しなければならないこと
●予告の日から解除日までにフリーランス事業者からの理由の開示の請求があった場合には理由の開示を行わなければならないこと
「営業外収益」は、会社の通常の事業とは関連しない収益です。「営業外収益」のうち少額のものや、たまたまの取引で得た収益は、実務上「雑収入」に計上します。「営業外収益」「雑収入」の考え方、計上のタイミング、税務上の注意点を確認しましょう。
【「営業外収益」とは】
「営業外収益」とは、商品の売買やサービスの提供等の会社の通常の事業とは関連しない取引で生まれる収益のことを指します。
営業外収益に区分される収益のうち、財務活動としての「受取利息」「受取配当金」、投資用の「不動産賃貸料」は区別することが一般的です。「受取利息」や「受取配当金」は源泉所得税が控除されているので、正しく計上する必要があります。また、利息等の計算書は保存しておきましょう。
この他、「為替差益(差損)」や「仕入割引」等、業種や商慣行、金額の重要性により別科目で計上することが望ましいものもあります。
為替差益(差損)
記録的な円安が続く中、海外企業との外貨建取引が多い会社では、売上の発生タイミングと売掛金の入金タイミングのズレにより、為替の差異が生じやすくなっています。
外貨建取引は、原則として、当該取引発生時の為替レート※による円換算額で計上します。
円転による入金時の差額は「為替差益(差損)」として処理します。
決算期末に売掛金、買掛金等の残高があり、短期外貨建資産等に該当する場合は、「決算日」の為替レートで計算します(期末時換算法)。
ただし、取得時の為替相場により換算する方法(発生時換算法)の届出を税務署長に行っている場合は不要です。
※為替レート:原則として、その日の電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の仲値(TTM)で換算します。また、継続適用を条件に、前月末日・前週末日の為替レートや、前月平均・前週平均の為替レートで計算することも認められます。
【「雑収入」とは】
営業外収益の中でも少額なものは「雑収入」に計上します。雑収入に該当する一般的なものは次のとおりです。
「雑収入」に該当するもの(例)
●遠隔地にある所有不動産(土地・建物)等の賃貸収入
●保険会社からの契約者配当金・保険金
●法人税・都道府県民税等の還付加算金
●使用しなくなった車両、機械装置等の売却代金
●会社に設置した自動販売機による収入
●鉄くず・建設廃材等の売却代金
●消費税の納付差益、精算差益
●代理店手数料、特約店手数料、報償金など
売上以外の収益は「雑収入」として計上してしまいがちですが、「どのタイミングで収益計上するか」「そもそも雑収入が適切なのか」はケースごとに異なります。
特に、手数料等は取引日をあまり意識せず受け取っていることも少なくないです。これらは、通知があった時や、債権が確定した日に収益計上すべき取引です。税務調査で期ズレを指摘されがちな項目なので注意しましょう。
【よくある事例】
(1)保険の配当金
配当金が支払われたり、積み立てられたりするタイプの生命保険等があります。そうした保険に加入している場合には、配当金の通知書等に基づいて、その事業年度中に雑収入として計上します。
最近は、メールや専用Webページ、アプリなどから通知書等をダウンロードする方式も増えていますので、きちんと確認して計上漏れに注意しましょう。
(2)助成金や給付金
国や地方自治体等から交付される助成金や給付金等は、一般的に「申請」→「支給決定」→「確定通知」→「支給」の流れとなっています。
国や地方自治体等からの通知書等に支給決定日が明記されている場合は、原則、その日付で雑収入として収益計上します。
支給決定の後に事業年度をまたぎ、翌事業年度に支給された場合でも、支給決定のあった事業年度に収益として計上する必要があります。
(3)ポイントの活用・還元
量販店等が発行する法人名義のポイントカードや、法人名義のクレジットカードを使用して物品の購入等を行った場合、ポイントが付与されるケースがあります。
この貯まったポイントを活用して物品を購入した場合、ポイントで支払った分についてはレシートの記載に基づいて、雑収入または値引として計上します。
(4)鉄くず・建設廃材等の売却収入
鉄くず・建設廃材等の売却収入は、たとえ少額であっても漏らさずしっかり雑収入として計上しましょう。
税務調査において売却収入の計上漏れを指摘され、意図的な除外と認められた場合、重加算税が課されることもあります。
特に、近年は金属の価格が高騰していることもあり、税務調査で指摘されがちですので注意しましょう。
(5)クラウドファンディング
資金調達手段の1つとして、クラウドファンディングが広まりつつあります。
クラウドファンディングで得た収入は一般的に雑収入として計上します。
出資者への返礼品がない「寄付型」のクラウドファンディングで得た収益は、受け取る金額が確定した時に受贈益として計上します。
一方、返礼品として商品やサービス等が提供される「売買型」のクラウドファンディングでは、入金時に前受金処理し、商品等の引渡し時に売上計上します。
【個人事業者の雑収入】
雑収入は、法人と個人事業者では違いがあります。
法人において「雑収入」とは、上記のとおり、営業外収益のうち「受取利息」「受取配当金」「投資用不動産の不動産賃借料」「為替差益」等に当てはまらないものや、金額が少額の収益が該当します。
個人事業者の場合、事業活動に伴う収入や経費を基に「事業所得」を計算します。個人事業者が本業以外の収入を得た場合、それが本業に付随するものであれば、事業所得の「雑収入」として計上します。本業とは関係がない収入は「雑所得」として、事業所得と区分して確定申告する必要があります。
個人事業者の雑所得(例)
●事業主が知人等に貸した貸付金の利子による収入
●著述家や作家以外の人が受ける原稿料
●FX(外国為替証拠金取引)や暗号資産(仮想通貨)での収入
スピーディーでスムーズな資金調達には、金融機関が融資審査を行う際に何を重視しているのか、あらかじめ金融機関の目線で知っておくと良いです。特に、「借りたお金は何に使うのか」「返済原資は何で、どう返済していくのか」について、社長自身が自分の言葉で説明できることは重要です。
【金融機関が知りたいの2点とは】
融資審査にあたり、金融機関が重視するのは主に次の2つです。
(1)貸したお金は何に使われるのか?
(資金使途)
(2)貸したお金はきちんと返済されるのか?
(返済能力)
金融機関にとっての「商品」はお金です。そして、そのお金は、個人や法人等から「預かったお金」です。だからこそ金融機関は、お金を預けてくれた人(預金者)に対して、商品であるお金が適切に運用されているか、無駄遣いはされていないかなど、きちんと説明する責任があります。
そのため、中小企業等から融資の申し込みを受けた金融機関は、預金者から預かった大切なお金が「何に使われるのか」「きちんと返済してもらえるのか」が最も気になります。
【「運転資金」「設備資金」の違いを理解しましょう】
(1)貸したお金は何に使われるのか?
お金の主な使い道には「運転資金」と「設備資金」があります。
◆運転資金:日常の業務や経営を円滑に進めるために必要な資金。
給与の支払いや原材料の調達費、広告宣伝費、光熱費、家賃等も含まれます。
運転資金 = 回収見込みのある金額 - 支払う必要のある金額
回収の見込みのある金額:売掛金、受取手形、在庫など
支払う必要のある金額:買掛金、支払手形、給与、家賃など
◆設備資金:事業に必要で、一時的に大きな金額となる設備等を購入するための資金。
土地や建物、生鮮機械等の有形資産のほか、ソフトウェアなどの無形資産の導入等が含まれます。
運転資金が必要になるケースは、主に、1.売上の増加(在庫および売掛金の増加)、2.販売・仕入条件の変更(代金の支払時期の前倒しによる買掛金の増加)があります。そのため、「支払う必要のある金額」が増加し、手元の現預金でカバーできくなります。
また、経済状況の激変や災害等の外的要因により、一時的に売上が減少し給与や家賃の支払いが難しくなった場合にも融資を受けることが必要になります。
設備資金は、例えば「店舗を増やしたい」「新たな機会を導入して作業の効率化を図りたい」といった時に必要になる資金です。
設備資金の申し込みの際は、金融機関に設備等の必要性・導入効果を説明する資料(事業計画)と、その設備の「見積書」をあらかじめ用意することが大切です。
運転資金・設備資金のいずれの融資であっても、金融機関からすれば、「将来、返済するためのお金(返済原資)」を生むものでなければ融資は難しくなります。
そのため、運転資金や設備資金として融資を受ける場合には、融資実行後の業績によって、「どのくらい利益が生まれるのか」「その利益からいくら返済していくのか」を、社長自身の言葉で説明できるように準備しておきましょう。これらの説明が明確かつ具体的であればあるほど、金融機関は融資実行を判断しやすくなります。
次のような場合に該当すると、資金使途違反となるおそれがあります。
今後、新たな融資を受けられなくなったり、一括返済を求められたりする可能性もありますので注意しましょう。
●設備資金を運転資金へ流用したとき
●設備投資における見積金額と発注金額に差があり、その差分の流用があったとき
(2)貸したお金はきちんと返済されるのか?
金融機関は、融資の約定に従った元本返済と利息の支払いを求めます。そこで大事になるのが「返済能力」です。
一般的に、返済能力は、1.債務償還力、2.安定的な収益性、3.資本の健全性 の3つの視点から決算書や試算表の数字を基に確認することになります。
1.債務償還力:借入金※1は利益※2の15倍以内である
※1借入金:現金・預金控除後の正味額
※2利益:償却前営業利益(営業利益+減価償却費)の額
2.安定的な収益性:減価償却前経常利益が2期連続赤字でない
3:資本の健全性:直近の純資産額が債務超過でない
返済能力をチェックするための指標は金融機関によって異なりますが、これらの視点を参考に金融機関と対話をすると良いでしょう。
いざ、資金が必要な時に融資が受けられない事態は避けたいものです。月次決算データを基に、借入金の状況を定期的にチェックすることが大切です。
【定期的な情報開示で金融機関との信頼関係を】
金融機関は定期的に融資先の業績確認を行い、「返済能力は維持されているか」「収益力が低下して借入負担が大きくなっていないか」という点をモニタリングします。
そのため、年1回の決算書だけでなく、定期的に試算表も提出すると良いでしょう。
最新の経営状況を把握することができるため、金融機関の安心感も高まり、信頼関係の構築にもつながります。
「定額減税」は令和6年月1日以後支払いの給与等からスタートします。所得税の定額減税は、原則として年末調整時の「一括控除」が認められません。毎月、減税額を控除しきるまで月次での対応が必要です。複雑になる給与計算事務を毎月スムーズに実施できるよう最終確認しておきましょう。
【「定額減税」開始前の3つの準備】
令和6年6月1日以後、最初の給与・賞与等の支払いから「定額減税」が始まります。
制度開始前に給与計算担当者が準備すべきことは、大きく分けて次の3つです。
(1)控除対象者の確認と減税額の確定
(2)「各人別控除実績簿」の作成
(3)給与等の明細書の様式の見直し
(1)控除対象者の確認と減税額の確定
給与計算担当者は、まず「令和6年6月1日」時点で、自社の従業員のうち「誰が」「いくら」減税となるのかを確定しなければなりません。従業員から提出された「扶養控除等申告書」「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」から、その従業員の減税額はいくらになるか把握しましょう。
なお、令和6年中の所得金額の見積額が900万円を超える従業員の同一生計配偶者は、「扶養控除等申告書」には記載されていません。そのため、該当する配偶者がいる従業員からは「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けることが必要です。
また、16歳未満の扶養親族は「扶養控除等申告書」の「住民税に関する事項」または「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」で把握します。
例年、年末調整時に従業員から「扶養控除等申告書」を提出してもらっていますが、6月1日までに扶養親族の異動があった場合は再提出してもらいます。
控除対象者とその人数を各従業員自身がしっかり確認し、正確に記載した書類を提出するよう従業員に促しましょう。
なお、共働きで定額減税の対象となる16歳未満の扶養親族が複数人いる従業員には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」に記載する扶養親族を分けることも検討してもらいましょう。それぞれに係る合計の減税額が少なくなる分、早く控除しきれるようになるため、月々の定額減税の事務負担を軽減できます。
(2)「各人別控除実績簿」の作成
各従業員から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」等の提出を受け、減税額が確定したら、「各人別控除実績簿」を作成しましょう。
「各人別控除実績簿」は各従業員の氏名、扶養親族等の人数、合計の減税額を記載した一覧表です。作成にあたっては「令和6年分源泉徴収税額表」から控除前税額を求め、控除額および残額を記入します。
特に扶養親族が多い従業員の場合、減税額を一度に控除しきれず、数か月間減税の事務が必要になります。定額減税の事務を毎月確実に、かつスムーズに行うためにも、制度開始前から各人・各月の控除額等を記録しておく書類を準備しておきましょう。
「各人別控除実績簿」のPDFとExcelは国税庁のHPからダウンロードできます。
(3)給与等の明細書の様式の見直し
定額減税がスタートすると、各従業員の給与明細書に「定額減税〇〇円」というように、当該給与等の所得税から控除した額を記載することが必要です。
そのため、事前に給与等の明細書の様式を見直しておくことが求められます。給与計算システムを利用している場合には、控除額の記載に当該システムが対応できているかどうか事前に確認しておきましょう。
【6月上旬に給与・賞与の支払日がくる会社は早めの対応が必要】
定額減税のスタートは、「6月分の給与の支払い」ではなく「6月1日以後最初の給与・賞与等の支払い」です。
特に、5月分の給与を6月上旬に支払う会社や、給与より先に賞与の支払いがくる会社は早めの対応が必要です。
従業員から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」等の提出を受ける期日は、通常の給与計算事務を行う日より1週間か~10日程度早く設定し、記載内容の確認と各従業員の減税額を確定するための時間を確保しましょう。
国税庁のHPには「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」や「各人別控除実績簿」の書類の様式・記載例が掲載されています。ダウンロードして準備しておきましょう。
【月次、年末調整の定額減税事務での留意点】
月次の給与計算、年末調整の減税事務を行う上で、主に以下の点をおさえておきましょう。
1.従業員を6月2日以後、新たに雇用したとき
月次の減税事務は行わず、年末調整で精算します。
2.従業員の扶養親族に異動があったとき
月次の減税事務を最初に行うときまでに提出されている「扶養控除等申告書」または「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」に基づいて月次の減税額を算出します。そのため、月次減税の開始後に扶養親族の異動があったとしても、毎月の控除額は変更されません。年末調整で精算します。
3.従業員・扶養親族の合計所得金額が見積額から大きく変わるとき
上記2と同様に、月次の控除額は変更されず、年末調整で精算します。
4.従業員がふるさと納税を行っている場合
ふるさと納税は、従来と変わらず定額減税前の所得割の2割が限度です。特別の対応は必要ありません。
5.従業員が住宅ローン控除を受けている場合
年末調整時に、住宅ローン控除を適用した後の税額から定額減税額を控除します。
6.定額減税後に所得税の納付額が0円となる場合
各月の所得税の定額減税事務が終了した後、納付すべき源泉徴収税額がある場合は、通常通りに納付が必要です。
所得税の納付額が0円になる場合は、納付額はありませんが、0円と記載された納付書の提出が必要です。
「値決め戦略」は経営において重要です。様々な情報を基に、製品・サービス等にかかるコストと適正な利益を踏まえた適切な価格を設定し、必要に応じて取引先と価格交渉をすることも必要になってきます。
【値決めは社長がやるべき仕事】
原材料やエネルギー資源の価格高騰を受け、製品・サービス等のコストは上昇傾向にあります。
加えて、賃上げ機運の高まりもあり、人件費の増加も見込まれています。
適正な利益を確保し、頑張ってくれている従業員に報いるためにも、適切な「値決め」が重要になっています。
一方で、「コスト上昇分を価格転嫁したいが、なかなかできない」「取引先の大手企業とは交渉が難しい」「付き合いの長い取引先だから値上げしづらい」と悩まれている社長も多いです。
値決めは、社長がやるべき重要な仕事の1つです。会社の将来のためにも、自社の値決めの方針について改めて考えてみましょう。そのためのポイントは3つです。
(1)コストと利益を踏まえて価格を見直す
製品・サービス等に必要な原材料費、燃料費、人件費、輸送費等のコストを改めて計算し、そこに適切な利益を加えた値決めとなっているか見直してみましょう。
<コスト・利益を踏まえた値決めの例>
●提供に手間・時間がかかる製品・サービス等の値上げ
●アフターサービスや送料など無償のものの有料化
●値引き幅の縮小や値引きの取りやめ
●原材料費・輸送費等の値上げ分の転嫁
コストの中で、特に重視すべきなのは原価です。その適切な把握のためには、日頃から業界紙や専門誌、業界団体のWebサイト等から、原価に影響するデータを収集しておくことも重要です。
なお、原材料等の価格推移を追う際には、省庁等が公表する公的データも参考にしましょう。
<原材料等の価格推移の参考データ>
●企業物価指数(日本銀行)
●企業向けのサービス価格指数(日本銀行)
●貿易統計(財務省)
●非鉄金属等需給動態統計調査(資源エネルギー庁)
●石油製品価格調査(資源エネルギー庁)
●食品価格動向調査(農林水産省)
●木材価格統計調査(農林水産省)
(2)自社の「強み」を見つめ直す
自社の製品・サービス等のどこに強みがあるのか見つめ直してみましょう。
同じ製品・サービス等でも、目線を変えてみることで、新たな価値や用途の発見につながることがあります。
例えば、甲冑の製造・販売をしているあるメーカーでは、甲冑を美術工芸品と捉えていました。しかし、イベントなどで実際に甲冑を着てみたいというニーズがあることに気づきました。そこで、新たに甲冑のレンタル事業を始めて成功しました。
また、近年ではコンプライアンス意識の高まりから、価格以上に、品質・納期や安定供給等を重視する傾向が強くなってきています。
取引先が自社の何を評価しているのか、改めてヒアリングするなど、知ることも必要です。
自社の強みを活かせるように、価格や販売構成等を見直してみましょう。
<強みを活かした値決めの例>
●他社より優位性がある製品・サービス等の値上げ
●リニューアルや新機能の追加で従来品の付加価値を高めての値上げ
●付属品やオプションなどの別料金化
(3)交渉では具体的なデータを提示する
必要に応じて、取引先との交渉に臨みます。その際は、製品・サービス等の付加価値アップや構成の見直しをした上で、価格改定について理解していただくようにしましょう。例えば、売上構成が低い取引先や業績が好調な取引先など、交渉しやすいところから始めることが考えられます。
交渉にあたっては、「厳しいから値上げさせてください」とお願いするのではなく、例えば、資源価格や原材料等の価格の値上がり幅などについて、具体的なデータを示しながら説明するように心掛けましょう。
<具体的なデータを基にした説明の例>
原材料の〇〇が5年前と比べて△△%、燃料コストが□□%値上がりしております。
これまで自社の努力で吸収して参りましたが、更なる値上がりが予想されるため、次回の納品分から◇◇円値上げさせて頂きたくお願い申し上げます。
交渉時には、単に価格のことだけを話すのではなく、リニューアルや機能強化など、製品・サービス等の見直しについても提案することが重要です。
より多くの利益を確保できれば、従業員の待遇改善や人材採用を有利に展開できる原資にもなります。自社の製品・サービス等に適切な価格をつけられるよう、値決めについて今一度考えましょう。
【価格交渉の準備】
中小企業庁は、中小企業の事例を基に取引先との価格交渉に必要なツールや交渉のポイントをまとめた「【改訂版】中小企業・小規模事業者の価格交渉ハンドブック(令和6年2月)」を公表しています。交渉のためのヒントとなりますので活用してみましょう。
<準備のポイント>
1.仕様変更等、不確定要素への対応に備え「業務フロー」と「見積チェックリスト」を作成する
2.業界紙や官公庁の公式サイトで原材料費や労務費に関するデータを定期的にチェックする
3.製品・サービス単位での原価計算を行う
4.主な製品・サービス等の「単価表」を作成する
5.自社の事業特性を踏まえた「見積書」のひな型(フォーマット)を作成する
6.取引先の経営方針や業績動向に関する情報を収集する
7.価格だけで判断されによう、自社の製品・サービス等の強みを見直す
<実践の流れ>
1.自社業種・業界の価格改定に関する情報を収集する
2.取引先(発注者)の業界・業種に関する情報収集と価格交渉を行う順番を検討する
3.取引先(発注者)へ交渉を申し入れる(必要に応じて、書面での申し入れを行う)
4.価格交渉に必要な資料を準備する
5.受注後に問題が発生した場合は早めに相談・交渉する
<「価格交渉に役立つ各種支援ツール」埼玉県>
埼玉県では、企業の適切な価格転嫁を支援するため、「価格交渉支援ツール」および「収支計画シミュレーター」(埼玉県Webサイト)を提供しています。
「価格交渉ツール」は、企業間で取引される様々な原材料やサービスの価格について、自由に選択し、価格の推移と増減をグラフ化することができます。
「収支計画シミュレーター」は、価格転嫁の有無が今後の企業収益に与える影響をシミュレーションできます。
価格交渉の準備に活用されてはいかがでしょうか。
令和2年から行われている中小企業の時間外労働(残業)の上限規制。令和6年4月1日から建設業・自動車運転の業務・医師に対する猶予が終了します。自社の労務管理を確認し、労働時間や残業時間が正しく把握できているかチェックしましょう。
【労働時間とは】
「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。
労働時間は、(1)「会社が定める就業時間以内」と、(2)「法律上の定めである1日8時間・1週40時間以内」に分かれます。また、(2)「法律上の定めである1日8時間・1週40時間以内」は、〔1〕所定労働時間、〔2〕法定内残業時間、〔3〕法定外残業時間の3種類に分けられます。
「法定内残業時間」と「法定外残業時間」には以下のような時間も含まれます。
・業務上必要となる着替え等の準備時間
・清掃等、業務に関連する後始末の時間
・会社が命じる研修や学習の時間
残業の上限規制により、法定外残業時間は原則として、月45時間、年360時間以内に抑える必要があります。臨時的な特別な事情がある場合も「複数月平均80時間以内、月100時間未満、年720時間以内に抑えなければなりません。
<労働時間の種類>
所定労働時間 | ●就業規則等で会社が定める労働時間 |
---|---|
法定内残業時間 | ●所定労働時間を超え、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)以内の残業時間 ●残業規制の「月45時間、年360時間」の計算には入れない |
法定外残業時間 (時間外労働時間) | ●法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える残業時間で、割増賃金の対象 ●原則「月45時間、年360時間」に抑えなければならない ●臨時的な特別な事情がある場合も「複数月平均80時間以内、月100時間未満、年720時間以内」とする |
【事業・業務ごとの時間外労働時間の上限】
時間外労働時間の上限は、事業・業務によって例外が設けられています。
法律上の上限 | ●月45時間以内、年360時間以内 |
---|---|
臨時的な特別な事情がある場合 (特別条項付きの協定を結ぶ必要あり) | ●時間外労働が年720時間以内 ●時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2~6か月平均80時間以内 ●時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月まで |
建設業 | ●災害の復旧・復興の事業を除き上限規制は全て適用される ●災害の復旧・復興の事業に関しては、上記のうち時間外労働と休日労働の合計について「月100時間未満」「2~6か月平均80時間以内」とする規制は適用されない |
自動車運転の業務 | ●臨時的な特別な事情がある場合、年間の時間外労働の上限は年960時間以内 ●時間外労働と休日労働の合計について「月100時間未満」「2~6か月平均80時間以内」とする規制は適用されない ●「時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月まで」とする規制は適用されない |
医師 | ●医療機関の機能や医師自身の働き方によって規制の内容が異なる 詳しくは厚生労働省HP「医師の働き方改革」へ |
例えば、冬場が繁忙期になるなど年内での偏りがある場合、「1年単位の変形労働時間制」を採用することで、閑散期の就業時間を短くし、その分繁忙期の就業時間を長くすることができます。
例)
閑散期:1日7時間労働
繁忙期:1日9時間労働
なお、この制度は休日も含めて1年間の総労働時間を計算します。そのため、勤務日の少ない月の労働時間を他に割り振る等、上手に活用すれば、繁閑の差が小さい企業でも残業の削減につなげます。
他にも、月内での偏りが大きい場合は「1か月単位の変形労働時間制」を、従業員が30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業では「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を採用することで、それぞれ月内・週内の労働時間を弾力的に定められます。
変形労働時間制を導入する場合、就業規則や労使協定の改定、労働基準監督署への届出が必要となる場合があります。
(3)事業・製品・商品構成の見直し
自社の事業や製品・商品のうち、長時間労働が必要となっているものを洗い出し、可能な範囲で減らしていく、という方法でも残業時間を減らせます。
特に、突発的な仕事や短い納期の仕事は長時間労働の原因になりがちです。
どの業務がどれ位の残業を発生させ、どの程度の利益を生み出しているのかを確認してみましょう。
(4)新たな技術の導入
生成AIを活用し、文書作成や情報収集にかかる時間を短くすることで、労働時間を短くすることができる場合があります。
飲食店の配膳や大型小売店の床掃除等では、ロボットの活用が進みつつあります。
ある蕎麦店では、蕎麦の調理にロボットアームを導入したところ、0.5人分の作業を削減できました。それに加えて、湯気や熱湯による火傷から従業員を守る等の効果もあったそうです。(経済産業省『コロナ禍におけるロボット活用事例』)
生産性アップと残業時間削減の両立のため、新たな技術の導入も検討してみましょう。
労働条件の明示は法律上の義務ですが、労務上のトラブル防止のためにも大切です。
労働契約の締結や、有期労働契約の更新の際は、「労働条件の明示」が必要ですが、令和6年4月1日からその明示ルールが変わります。
新たなルールに対応できるか内容を確認するとともに、改めて自社の労働条件、その明示方法について見直してみましょう。
【雇用契約書等を確認しましょう】
新しい従業員を雇う際や、有期雇用契約を更新する際は、あらかじめ賃金や始業・終業時間など、様々なことを伝える必要があります。その際には、労務上のトラブルを防ぐためにも、口頭ではなく書面で明示するようにしましょう。
ただし、そもそも労働条件が法令に違反していては意味がありません。まずは、自社の雇用契約書等を確認し、「書面で明示する義務のある労働条件」が記載されているかどうかを確認しましょう。
もしも雇用契約書等の書面がない場合は、速やかに作成しましょう。
<書面で明示する義務のある労働条件>
●労働契約の期間
有期労働契約の場合、原則3年以内
●有期労働契約を更新する場合の基準
●就業の場所及び従事すべき業務
●始業及び就業の時間、休憩時間、休日等
休憩時間は労働時間6時間超の場合45分以上、8時間超の場合1時間以上。
休日は少なくとも毎週1日か4週間を通じて4日以上。
●賃金
最低賃金以上の金額を、通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、一定期日に支払う。
●退職
解雇の場合、原則として少なくとも30日前に予告。
自己都合退職の場合、原則として少なくとも14日前に予告。
※昇給に関する事項は、口頭で可能だが、できるだけ書面での明示が望ましい。
厚生労働省に明示義務を満たしたテンプレートがありますのでご参照ください。モデル労働条件通知書(厚生労働省)
【書面での明示事項が4項目追加】
「労働条件の明示ルール」は、令和6年4月1日以降に契約締結・契約更新となる雇用契約から、全ての従業員に対して次の(1)が追加されます。有期雇用の従業員に対して(2)の〔1〕から〔3〕が追加されます。そして、書面で明示しなければなりません。
自社の雇用契約書等に追記して対応しましょう。
(1)全ての従業員に対して、新たに書面で明示しなければならない事項
●就業場所・業務の変更の範囲
主に配置転換や在籍型出向を命じた際の転換先や出向先での就業場所・業務を明示します。
変更がない場合でも、「変更の範囲」の項目で、変更がない旨を明確にします。
テレワークを導入している場合は、「就業場所」の項目でテレワークに使用する場所(従業員の自宅等)も明示します。
一方、他の支社や店舗への応援、出張、研修等の一時的な変更先の場所や業務は書面で明示しなければならない事項には含まれません。
雇用契約書等に明示する際には、次の例のように記載することが考えられます。
例1)東京本社で採用し、大阪支社への転勤の可能性がある場合
(雇入れ直後)東京本社及び従業員の自宅
(変更の範囲)東京本社、大阪支社及び従業員の自宅
例2)商品企画者として採用し、営業への転換の可能性がある場合
(雇入れ直後)商品企画
(変更の範囲)商品企画または営業
(2)有期雇用の従業員に対して、新たに書面で明示しなければならない事項
〔1〕有期労働契約の更新の上限
有期労働契約に通算契約期間または更新回数の上限がある場合、契約の締結と更新の際に書面で明示することが必要になります。
雇用契約書等に明示する際は、次の例のように記載することが考えられます。
例3)通算契約期間を明示する場合
契約期間は通算4年を上限とする
例4)更新上限を明示する場合
契約の更新回数は3回までとする
〔2〕無期転換申込機会
有期労働契約が5年を超えて更新された場合、該当する契約の初日から満了までの間、雇用主に対して無期転換を申し込むことができる旨を、書面で明示することが必要になります。また、初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も、契約を更新する場合は、その都度、無期転換申込権について書面で明示する必要があります。
〔3〕無期転換後の労働条件
無期転換申込権が発生する契約更新の際と、無期転換申込権を行使して無期労働契約が成立した際には、それぞれ無期転換後の労働条件を書面で明示する必要があります。
(3)求人の際の明示事項も追加に
新規雇用・契約更新の際のルール変更とともに、令和6年4月1日から求人の際に明示する労働条件にも以下の明示事項が追加されます。
<求人の際に追加される明示事項>
・従事すべき業務の変更の範囲
・就業場所の変更の範囲
・有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)
ハローワークへ求人の申し込みを行う際、自社のWebサイト・SNSでの募集、求人広告への掲載等を行う際、求人票や募集要項で労働条件を明示することが必要になります。
【労働条件を書面で明示して安心して働ける職場に】
他にも、昇給、退職手当、賞与※1等、従業員負担の給食費等、安全及び衛生、職業訓練、災害補償・傷病扶助、表彰及び制裁、休職については、定めを設ける場合に明示する※2必要があります。
※1 短時間労働者等に対しては、[1]昇給の有無、[2]退職手当の有無、[3]賞与の有無、[4]相談窓口を書面で明示する義務があります。
※2 大半は就業規則を作成した場合、そちらに記載義務があります。
労働契約の締結・更新時に書面で明示する義務はありませんが、書面で明示することで、従業員が安心して働ける環境づくりにつながります。
労働条件明示のルール改正について、詳しくは厚生労働省のHPをご参照ください。
【令和6年4月1日以後に書面で明示すべき事項(まとめ)】
令和6年4月1日以後に明示すべき事項をまとめると以下のようになります。
★印が新しく追加される明示事項です。
雇用契約書等を確認して、全ての事項が漏れなく記載されているか確認しましょう。
全ての従業員 | 有期雇用の従業員 |
---|---|
●労働契約の期間 ●就業の場所及び従事すべき業務 ★就業場所・業務の変更の範囲 ●始業及び終業の時間、休憩時間、休日等 ●賃金 ●退職 | 全ての従業員に対する明示事項プラス ●有期労働契約を更新する場合の基準 ★有期労働契約の更新の上限 ★無期転換申込機会 ★無期転換後の労働条件 ●昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口 |
令和5年分の所得税・贈与税の確定申告は、令和6年2月16日(金)~令和6年3月15日(金)です。
消費税の確定申告は、令和6年2月16日(金)~令和6年4月1日(月)までです。
令和5年10月1日からインボイス制度が始まったことにより、免税事業者から適格請求書発行事業者となった個人事業主は、令和5年分から消費税の申告・納税も必要になります。
また、個人事業主や不動産オーナーだけでなく、会社役員やサラリーマンなどの給与所得者でも副業など一定の収入があれば確定申告が必要です。
<消費税>
【免税事業者がインボイス発行事業者になった場合】
(1)免税・課税事業者の期間を区分する
インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった場合、登録日から令和5年12月31日までの期間について、消費税の申告・納税が必要となります。
インボイス発行事業者の登録日が令和5年10月1日の場合、9月30日までの取引と、課税事業者となった10月1日以後の取引が正しく区分されているか確認しましょう。
(2)納税額を売上税額の2割とする特例(2割特例)
消費税の納税額の計算には、「本則課税」と「簡易課税」の2つの方法があります。
インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者には、業種に関わらず売上税額の一律2割を納税額とする特例措置(2割特例)があります。
「2割特例」は、課税売上に係る消費税額(売上税額)からその8割を差し引いて納税額を計算するため、多くの場合、「2割特例」を適用する方が納税額が少なく計算されます。
(3)「2割特例」の適用できる事業者
「2割特例」を適用できるのは、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者のみです。
本則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも、事前の届出なしで「2割特例の適用を受ける」旨を申告書に付記することで適用できます。ただし、基準期間(個人事業主の場合、前々年)の課税売上高が1,000万円を超えている方など、インボイス発行事業者の登録とは関係なく課税事業者となる方は「2割特例」を適用できません。
<「2割特例」の対象外の事業者>
・基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者
・資本金1,000万円以上の新設法人
・調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者
・課税期間を1カ月または3カ月に短縮する特例の適用を受ける事業者
など
(4)「2割特例」を適用できる期間
「2割特例」を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。
令和5年10月1日に登録を受けた個人事業主の場合、令和5年分(10月~12月分)の申告から令和8年分の申告まで、計4回の申告で「2割特例」を適用することができます。
<所得税>
【家事費・家事関連費】
個人事業主の所得税の確定申告で注意が必要なのは、家事費と家事関連費です。
仕入、広告宣伝費、従業員給与など業務上の必要経費と、業務に関係のないプライベートの生活のための支出(家事費)があります。
家事費は必要経費として認められないため、しっかり区分しておく必要があります。
また、店舗併用住宅の水道光熱費や家賃、火災保険料、業務と生活の両方で利用する自動車の諸経費などのように、必要経費と家事費が混在した支出は家事関連費となります。家事関連費は、使用時間や使用頻度などの合理的な方法により按分し、業務上必要な部分を明確にすることで、その部分が必要経費として認められます。
<家事費(例)>
●自身や家族の生活費(家族との食事代など)
●娯楽のための費用
●医療費(医療費控除の対象になる)
●家族に支払う家賃や給与(青色専従者給与を除く)
●事業主自身の生命保険料(生命保険料控除の対象になる)
●自宅の火災保険料
●自宅の修繕費
●自宅の住宅ローンの利息
など
<家事関連費の按分方法(例)>
家事関連費 | 按分方法 |
---|---|
地代家賃 損害保険料 減価償却費 修繕費 固定資産税 火災保険料 住宅ローンの利息 など | 面積 使用頻度 使用時間 など |
水道光熱費 電話代 インターネット接続料 など | 使用時間 使用頻度 照明器具の数 など |
自動車の減価償却費 自動車保険料 自動車税 車検費用 駐車場代 ガソリン代 など | 走行距離 業務使用日数 など |
●同族会社の役員が会社から受け取る賃貸料や貸付金の利息による収入
など
詳しくはこちらへ
2024年の制度改正は、会社の経営・労務に関するものが多くあります。自社で対応が必要となる改正点を事前に把握し、準備しましょう。
(1)電子帳簿保存法の本格義務化 R6年1月1日~
2024年1月1日から、電子取引データの電子データによる保存が本格的に義務化されます。電子データとは、メールやインターネット経由で受け取った請求書・見積書・領収書等のPDFファイル、画像データなどのことです。原則として、「電子取引データの紙による保存」が認められなくなります。電子データは、電子データとして保存することが徹底できる体制になっているかを確認しましょう。
詳しくはこちらへ
(2)暦年課税制度・相続時精算課税制度の見直し R6年1月1日~
2024年1月1日から相続税・贈与税のルールが大きく変わります。2023年までは3年以内だった暦年課税制度における相続前贈与の加算期間が、2024年1月1日以後の贈与からは7年以内に順次延長されます。
また、相続時精算課税制度には、2024年1月1日以後の贈与から、特別控除2,500万円とは別に、毎年110万円の基礎控除が新設されます。
詳しくはこちらへ
(3)建設業・自動車運転の業務・医師の残業規制開始 R6年4月1日~
2024年4月1日から建設業・自動車運転の業務・医師の時間外労働の上限規制が始まります。
労働時間は原則1週40時間、1日8時間(法定労働時間)以内の必要があると労働基準法で定められています。
これを超えて働く時間(残業時間)の上限について以下の通り定められています。(2019年4月(中小企業では2020年4月)から適用)
●原則として月45時間、年360時間(限度時間)以内
●臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度
一方で、以下の事業・業務については、長時間労働の背景に、業務の特殊性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限について適用が5年間(令和6年3月31日まで)猶予され、また、一部特例つきで適用されることになります。
詳しくは厚生労働省のHPへ
事業・業務 | 2024年4月以降の取り扱い(猶予期間終了後) |
---|---|
工作物の建設の事業 | ・災害時における復旧及び復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。 ・災害時における復旧及び復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されません。 |
自動車運転の業務 | ・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となります。 ・時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制が適用されません。 ・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されません。 |
医業に従事する医師 | ・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(※)となります。 ・時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制が適用されません。 ・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されません。 ・医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがあります。 ※特別条項付き36協定を締結する場合、特別延長時間の上限(36協定上定めることができる時間の上限)については、以下となります。 ◆A水準、連携B水準: 年960時間(休日労働含む) ◆B水準、C水準: 年1,860時間(休日労働含む) なお、医業に従事する医師については、特別延長時間の範囲内であっても、個人に対する時間外・休日労働時間の上限として副業・兼業先の労働時間も通算して、時間外・休日労働を、以下とする必要があります。 ◆A水準: 年960時間/月100時間未満(例外的につき100時間未満の上限が適用されない場合がある) ◆B・連携B水準・C水準: 年1,860時間/月100時間未満(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合がある) |
(4)相続登記の義務化 R6年4月1日~
2024年4月1日から、相続または遺贈によって家や土地などの不動産を取得した際には、3年以内に登記しなければなりません。
2025年3月31日までは、次の2つのいずれかに該当する場合、該当部分の登録免許税が免税となります。
1.相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合
2.土地の相続登記をする際の課税標準となる土地の価額が100万円以下
(5)フリーランス保護新法の施行 R6年秋頃
2023年に公布された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス保護新法)が2024年秋頃までに施行予定です。
業務委託をしている事業者の方は、事前に内容を確認して対応しましょう。
フリーランス保護新法 パンフレット 厚生労働省
(6)社会保険の適用拡大 R6年10月1日~
2024年10月1日から、「従業員51人以上」の企業を対象に、一定の要件を満たすパート・アルバイト従業員への社会保険適用義務が広げられます。
新たに社会保険の適用を行い、従業員の手取りが減らないような取り組み(「社会保険適用促進手当」の支給、労働時間の延長など)を行った事業者が活用できる「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」があります。労働者1人あたり最大50万円が助成されますので、ご参照ください。