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2025年4月(令和7年4月)

4月1日から「65歳までの雇用確保」が完全義務化

人口減少と高齢化が進む中、労働力不足に対応する観点からも、高齢者の活躍に対する期待は高まりをみせています。高年齢者雇用安定法では、高年齢者の安定した雇用機会や就業機会を確保するため、事業主が講ずべき措置等を規定しています。これらの規定を踏まえ、働く意欲のある高齢者が年齢に関わりなく本人の希望や能力に応じて活躍できる環境を整備することが重要です。
令和7年4月1日以降は、原則として、希望する全従業員に65歳まで雇用確保することが、全事業者の義務となります。

【「65歳までの雇用確保」の完全義務化で何が変わる?】
事業者は以下の(1)~(3)のいずれかの措置をとって、65歳までの雇用を確保することが義務づけられます。「65歳定年制」が完全義務化されるわけではありません。

(1) 定年制の廃止
従業員の申し出があった場合や解雇の場合を除き、終身契約となる。
雇用形態の変更(例:正社員から契約社員への転換)は原則不可。

(2) 65歳までの定年引上げ
従業員の申し出があった場合や解雇の場合を除き、65歳までの継続契約となる。
65歳までは雇用形態の変更は原則不可。

(3) 希望者全員を対象とする、65歳までの継続雇用制度を導入
従業員の申し出があった場合、次のいずれかを適用する。
A.「勤務延長制度」
 定年(60歳以上)を迎えても退職させず、65歳まで継続契約する。
 ※雇用形態の変更は原則なし。

B.「再雇用制度」
 定年を迎えた時点で一旦退職扱いとし、再び雇用する。
 ※退職を機に、契約社員等への雇用形態の変更等が可能。

(1)や(2)、(3)Aの措置を実施する場合、シニア人材とそれ以外の従業員の双方に配慮した給与体系の設計が必要になります。
(3)Bを実施する場合は、賃金等の勤務条件の見直しが可能です。

詳しくは、厚生労働省「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」

【「高年齢雇用継続基本給付金」の給付率が縮小】
高齢者が60歳以降も働き続けることを支援するための「高年齢雇用継続給付金」。雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に対して、賃金額が60歳到達時の75%未満になった場合、最高で賃金の15%相当額が支給されます。
雇用保険法の改正に伴い、令和7年4月1日以降は、その給付率が15%から10%に縮小されます。旧金額を加味して賃金を設定している場合は、見直しをすることが必要です。

詳しくは、厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

安心して遺言書を残せる「自筆証書遺言書保管制度」

「自分の財産を誰にどれだけ残すか」という意思表示を、法的効力のある書面として生前に残したものが遺言書です。その大切な遺言書を、長期にわたり大切に保管するための制度の1つに「自筆証書遺言書保管制度」があります。

【「遺言書」は相続人間の争い防止にも効果が】
亡くなった個人の財産は、遺言書が無い場合、相続人全員の話し合いによってその分け方が決められることになります。「遺産分割で争いになるのを避けたい」「法定相続人以外にも財産を残したい」等の意思や想いがあるのなら、その意思を「遺言書」として書面に残しておきましょう。
一般的に用いられる遺言書には、「公正証書遺言」「自筆証書遺言」があります。いずれも民法が定める一定の形式に基づいて作成されなければ、法律上の効果は生じません。

<一般的な遺言書の種類>
●公正証書遺言
公証役場で証人2人以上の立会いのもと遺言者が遺言の趣旨を公証人に述べて、公証人の筆記により作成してもらう遺言書

●自筆証書遺言
遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印する遺言書

「公正証書遺言」は、公証人が遺言書の作成を手掛けるため、無効になる可能性が低いです。また、原本は公証役場で保管されるため改ざんや盗難・紛失等のおそれがない反面、承認が2人以上必要であり、費用や手間がかかります。

「自筆証書遺言」は、遺言の全文はパソコンや代筆での作成は認められず、自筆でなければなりません。2019年の民法改正により、遺言書に添付する「財産目録」は、パソコンや代筆での作成が可能となっています。

【法務局が原本と画像データを保管する「自筆証書遺言書保管制度」】
自筆証書遺言は、作成に費用がかからず、いつでも気軽に書き直せる一方、「一定の要件を満たしていないと、遺言が無効になる」「紛失したり、遺族が遺言書の存在に気づかない」「破棄、隠匿、改ざんのおそれがある」「遺言者の死亡後、家庭裁判所で遺言書の検認手続きが必要になる」といった課題がありました。
こうした課題を解消し、自筆証書遺言を安心して残しやすくするための制度が、2019年の民法改正とともにスタートした「自筆証書遺言書保管制度」です。この制度は、遺言書の作成者本人が遺言書を法務局に持参し、本人確認を受けた後、法務局で自筆証書遺言(原本)とその画像データが保管される制度です。この制度には次のような利点があります。

<「自筆証書遺言書保管制度」の利点>
(1) 法務局で保管されるため、紛失や隠匿、改ざん等のおそれがない
(2) 民法で定める自筆証書遺言の形式に適合するかを法務局が確認するため、外形的なチェックを受けられる(ただし、遺言書の有効性を保証するものではない)
(3) 遺言者が亡くなったときに、あらかじめ指定された人に法務局から遺言書が保管されていることが通知される(遺言者があらかじめ希望した場合に限る)
(4) 家庭裁判所での検認手続きが不要になるため、相続人等が速やかに遺言書の内容を実行できる

【遺言書を作成するときは法定相続人の「遺留分」に注意】
亡くなった人の財産を相続する権利のある人(相続人)の範囲は民法で定められており、そうした人のことを「法定相続人」といいます。法定相続人のうち、配偶者や子等(直系卑属)、父母等(直系尊属)には、利益保護の観点から、遺言の内容に関わらず最低限の相続分として定められた「遺留分」があります。ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分の割合は、法定相続分の1/2、直系尊属のみが相続人の場合は法定相続分の1/3となります。相続人の態様によって相続財産に対する遺留分は異なります。

相続人のうちの1人に「遺産の全てを相続させる」など、遺留分を侵害しているような内容の遺言書の場合、遺言書それ自体が無効となるわけではありません。しかし、その他の相続人は遺留分の侵害額に相当する金銭を請求(遺留分侵害額請求)することができるため、注意が必要です。
例えば、「後継者に事業用の不動産等を残したい」など、誰かに特定の財産を残したいときは、遺留分に注意して、残す財産の内容を具体的に記載した遺言書を作成することが有効です。

<遺留分の割合の例>

相続人の態様相続財産に対する各相続人の遺留分
配偶者のみ1/2
配偶者と子1人配偶者:1/4  子:1/4
子1人のみ1/2
配偶者と親(直系尊属)配偶者:1/3  親:1/6
親(直系尊属)のみ1/3

【自筆証書遺言書保管制度を利用する際の注意点】
自筆証書遺言書保管制度を利用する場合には、決められた様式で遺言書を作成する必要があります。

(1)自筆証書遺言の要件

●遺言書の全文、遺言の作成日付、遺言者氏名を、必ず自筆し押印する
●遺言の作成日付は、日付が特定できるように正確に記載(「令和7年4月吉日」は不可)
●財産目録は、自書でなく、パソコン作成、不動産登記事項証明書や通帳コピー等を添付することができるが、その目録の全てのページに署名押印が必要
●書き間違いの訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所がわかるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印する

(2)自筆証書遺言書保管制度を利用する際の様式
●用紙はA4サイズ、裏面には何も記載しない
●上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側mmの余白を確保する
●遺言書本文、財産目録には、各ページに通し番号でページ番号を記載する(例1/2,2/2 など総ページが分かるように記載)
●複数ページでも綴じない(ホチキス等で綴じない)

(3)自筆証書遺言書の記載上の注意事項
●筆記具は、消えるインク等は使用せず、ボールペンや万年筆など消えにくいものを使用する
●遺言者の氏名は、ペンネーム等ではなく戸籍どおりの氏名(外国籍の方は公的書類記載の通り)を記載する

(4)自筆証書遺言書を作成するときの注意事項
●誰に、どの財産を残すか、財産と人物を特定して記載する
●財産目録を添付する場合は、別紙1、別紙2などとして財産を特定する
●財産目録にコピーを添付する場合は、その内容が明確に読み取れるように鮮明に写っていることが必要
●推定相続人※の場合は「相続させる」または「遺贈する」、推定相続人以外の者に対しては「遺贈する」と記載する
 ※推定相続人とは「いま現在の状況で相続が発生した場合、遺産を相続するはずの人」のこと

詳しくは法務省「自筆証書遺言書保存制度 03 遺言書の様式等についての注意事項」

2025年3月(令和7年3月)

そもそも「103万円の壁」とは?

令和7年度の税制改正で、「年収103万円の壁」が見直されることになりました。
年収は、税金だけでなく社会保険の扶養の範囲にも影響します。
制度改正の内容を理解するために、「103万円の壁」について再確認しておきましょう。

<所得税>
【基礎控除・給与所得控除がそれぞれ10万円の引き上げに】
令和6年までは、給与所得者(会社員、パート、アルバイト等)は、年収が103万円以下であれば所得税がかかりませんでした。
「103万円」とは、基礎控除48万円と、給与所得控除の最低保障額55万円合わせた合計金額です。ここから「103万円」という金額が1つの区切り(壁)のように強調され、この「103万円」を目安として年末頃に就業調整する人が少なくないのが現状でした。

「令和7年度税制改正の大綱」(令和6年12月27日閣議決定)によれば、基礎控除が58万円に、給与所得控除が65万円(最低保障額)に引き上げられます。これにより、一部の人を除き所得税が減税となります。
特に、これまで「103万円以内」を意識して就業調整していた人は、所得税の非課税の範囲が123万円に拡大します。
「103万円の壁」の見直しは、主に給与所得者を対象としていますが、基礎控除の引き上げは、合計所得金が鵜が2,350万円以下の個人事業者にも適用されます。

【「103万円が見直されるとどうなる?】
「103万円の壁」の見直しによって、所得税の課税対象外となる人が増えれば、源泉徴収の対象者が減少します。
また、「103万円の壁」の見直しに伴い、扶養控除の合計所得金額要件も見直されることになります。
「103万円の壁」の見直しは、令和7年分の所得税から実施されますが、令和7年分については年末調整での対応となります。
令和8年分以降については、改正後の「源泉徴収税額表」を適用することになる見込みです。
給与計算システムの活用等、柔軟な対応ができるように準備しておきましょう。

【「103万円の壁」の見直しは給与計算事務にも影響!】
源泉徴収税額表」は、企業が従業員の給与や賞与から天引きする所得税額を計算するために使用する表です。
この表を基に、給与額や扶養親族の数に応じた正確な税額を求めることができます。
年末調整や給与計算における「源泉徴収税額表」の適用間違いに気を付けましょう。

(1)「源泉徴収税額表」の区分
源泉徴収税額表」には、「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があります。
給与等の支給方法に応じて次のように使用します。

月額表次のような給与について使用します。
●月ごとに支払うもの
●半月ごと、10日ごとに支払うもの
●2か月ごとや3か月ごとなど、月の整数倍の期間ごとに支払うもの
日額表次のような給与について使用します。
●毎日支払うもの
●週ごとに支払うもの
●日割りで支払うもの
●日雇い賃金
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表賞与(ボーナス)について使用します。
※ただし、前月中に給与の支払がない場合、または賞与の金額が前月中の給与金額の10倍を超える場合には「月額表」を使用します。

(2)「源泉徴収税額表」の使用欄
「扶養控除等申告書」の提出の有無等に応じて「源泉徴収税額表」の「甲欄」「乙欄」「丙欄(日額表のみ)」を適用します。
「甲欄」「乙欄」を正しく適用しましょう。

甲 欄「扶養控除等申告書」を提出した従業員やパート・アルバイトに支払う給与について使用します。
「甲欄」を使用することで、扶養控除等の控除を踏まえた税額になります。
ただし、「扶養控除等申告書」は1つの勤務先にしか提出できません。ダブルワークしている場合は主な1か所にのみ提出します。
乙 欄「扶養控除等申告書」を提出していない従業員について使用します。
例えば、複数の勤務先から給与を受け取っている人等が該当します。
扶養控除等の申告がないため、税額は「甲欄」よりも高くなります。
丙 欄日雇い賃金の人、あらかじめ雇用期間が2か月以内と決まっている日給や時間給で働くパート・アルバイトについて使用します。

年収の壁は「103万円の壁」だけではありません。
以下の「年収の壁」は、給与収入のみを得ている人の場合を基に解説します。
詳しくは「年収の壁」扶養の範囲を確認しましょう へ

<住民税>
【住民税「100万円の壁」】
年収100万円(自治体によって93万円~100万円)を超えると住民税が課税されます。
なお、「令和7年度税制改正の大綱」(令和6年12月27日閣議決定)によれば、令和8年度分から一定の所得以下の場合、住民税の給与所得控除の最低保障額(現行55万円)が65万円に引き上げられる予定です。
この場合、「100万円の壁」が「110万円の壁」に変更されます。

<所得税>
【所得税「150万円の壁」「201万円の壁」】
夫婦共働きで、妻が夫の扶養に入っている場合、妻の年収が103万円を超えると税法上の扶養から外れて、妻本人に所得税が課税されます。
また、夫は自身の収入から配偶者控除が受けられなくなります。(「103万円の壁」)
ただし、夫は配偶者特別控除を受けることができます。
配偶者特別控除は、妻の年収が150万円以下であれば、配偶者控除と同額(最高38万円)の控除が受けられます。
夫の手取り収入には影響がないため、「150万円の壁」とも言われます。

妻の年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の控除額は段階的に縮小します。
そして、妻の年収が201万6,000円以上になると、夫は配偶者特別控除が受けられなくなります。
こうしたことから「201万円の壁」とも言われます。


<社会保険>
【社会保険「106万円の壁」「130万円の壁」】
社会保険の扶養の範囲を示す「年収の壁」もあります。以下、夫婦共働きで妻が夫の扶養に入る場合を想定して解説します。

(1)「106万円の壁」
従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上の事業所に勤める妻の年収が約106万円(月額賃金8万8,000円:年収105.6万円)以上の場合、一定の条件(週の所定労働時間が20時間以上等)に該当すると、社会保険上の扶養から外れます。
妻本人の勤務先の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入して保険料を支払うことになります。

(2)「130万円の壁」
妻の年収が130万円以上になると、原則として、勤務先の従業員規模等に関係なく、社会保険上の扶養から外れ、自身で国民年金・国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。

2025年2月(令和7年2月)

令和6年分 所得税 確定申告の準備ポイント

令和6年分の所得税の確定申告は、令和7年2月17日(月)~令和7年3月17日(月)です。
消費税の確定申告は、令和7年2月17日(月)~令和7年3月31日(月)までです。
令和5年10月1日からインボイス制度が始まりました。令和6年の途中から免税事業者から適格請求書発行事業者となった個人事業主は、令和6年分から消費税の申告・納税も必要になります。
また、個人事業主や不動産オーナーだけでなく、会社役員やサラリーマンなどの給与所得者でも、副業や生命保険の満期保険金など一定の収入がある方、医療費控除などの控除を受ける方は確定申告が必要です。


<消費税>
【免税事業者がインボイス発行事業者になった場合】
(1)免税・課税事業者の期間を区分する
年の途中から、免税事業者からインボイス発行事業者となった場合、適格請求書発行事業者の登録日から12月31日までの期間について、消費税の申告・納税が必要となります。
インボイス発行事業者の登録日が令和6年4月1日の場合、3月31日までの取引と、課税事業者となった4月1日以後の取引が正しく区分されているか確認しましょう。

(2)納税額を売上税額の2割とする特例(2割特例)
消費税の納税額の計算には、「本則課税」と「簡易課税」の2つの方法があります。
免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者には、業種に関わらず売上税額の一律2割を納税額とする特例措置(2割特例)があります。
「2割特例」は、課税売上に係る消費税額(売上税額)からその8割を差し引いて納税額を計算するため、多くの場合、「2割特例」を適用する方が納税額が少なく計算されます。

(3)「2割特例」の適用できる事業者
「2割特例」を適用できるのは、免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者のみです。
本則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも、事前の届出なしで「2割特例の適用を受ける」旨を申告書に付記することで適用できます。ただし、基準期間(個人事業主の場合、前々年)の課税売上高が1,000万円を超えている方など、インボイス発行事業者の登録とは関係なく課税事業者となる方は「2割特例」を適用できません。

<「2割特例」の対象外の事業者>
・基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者
・資本金1,000万円以上の新設法人
・調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者
・課税期間を1カ月または3カ月に短縮する特例の適用を受ける事業者
など

(4)「2割特例」を適用できる期間
「2割特例」を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。
個人事業主の場合、令和5年分(10月~12月分)の申告から令和8年分の申告まで「2割特例」を適用することができます。

<所得税>
個人事業者は、総収入金額や必要経費を集計して事業所得を算出します。
所得を正しく計算するためには、総収入金額や必要経費を正しく計上する必要があります。

【総収入金額に含まれるもの】
事業(本業)から生じた売上金額や、事業に付随して得た収入は総収入金額となります。

<総収入金額に含まれるもの(例)>
●事業から生じた売上金額(売掛金を含む)
●棚卸資産の自家消費(仕入価額または通常の販売価額の70%のいずれか大きい方の金額を収入に含める)
●金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
●仕入割引やリベート収入
●作業くず等の売却代金
●棚卸資産の損失による保険金・損害賠償金
●買掛金の債務免除益
●消費税の益税
●雇用調整助成金
など

事業以外の暗号資産取引やアフェリエイト広告等による収入は、事業所得ではなく雑所得として申告します。

【必要経費になるもの】
仕入代金(買掛金を含む)をはじめ、広告宣伝費、運送費、従業員給与、賃借料、減価償却費、水道光熱費、その他事業に必要な費用は必要経費となります。
ただし、事業に関係のない支出は家事費であって必要経費にはならない為、正しく区分しましょう。

【家事費】
個人事業主の所得税の確定申告で注意が必要なのは、家事費と家事関連費です。
仕入、広告宣伝費、従業員給与など業務上の必要経費と、業務に関係のないプライベートの生活のための支出(家事費)があります。
家事費は必要経費として認められないため、しっかり区分しておく必要があります。

<家事費(例)>
●自身や家族の生活費(家族との食事代など)
●娯楽・遊興の費用
●医療費(医療費控除の対象になる)
●家族に支払う家賃や給与(青色専従者給与を除く)
●事業主自身の生命保険料(生命保険料控除の対象になる)
●自宅の火災保険料
●自宅の修繕費
●自宅の住宅ローンの利息
など

【家事関連費】
個人事業者の場合、店舗併用住宅の家賃、水道光熱費、火災保険料、事業とプライベートの両方で利用する自動車の諸経費など、必要経費と家事費が混在した支出は家事関連費となります。
家事関連費は、使用時間や使用頻度などの合理的な方法により按分し、業務上必要な部分を明確にすることで、その部分が必要経費として認められます。

<家事関連費の按分方法(例)>

家事関連費按分方法
地代家賃
損害保険料
減価償却費
修繕費
固定資産税
火災保険料
住宅ローンの利息
など
面積
使用頻度
使用時間
など
水道光熱費
電話代
インターネット接続料
など
使用時間
使用頻度
照明器具の数
など
自動車の減価償却費
自動車保険料
自動車税
車検費用
駐車場代
ガソリン代
など
走行距離
業務使用日数
など
【給与所得者の場合】
年間の給与収入が2,000万円以下の給与所得者は、年末調整を行うので確定申告をする必要はありません。医療費控除や災害・盗難等による損失についての雑損控除を適用して、所得税の還付を受ける場合には確定申告が必要です。
また、給与以外の収入がある場合、確定申告が必要な場合があります。

<確定申告が必要になる給与以外の収入(例)>
●FX(外国為替証拠金取引)により得た収益
●暗号資産の売却による収入

●上場株式等の譲渡や配当による収益
●生命保険の満期保険金や損害保険の満期返戻金
●ふるさと納税の返礼品(一時所得の年間合計50万円超)
●フリマアプリやネットオークションでの資産(生活用動産を除く)売却による収入
●インターネット広告による収入
●海外資産の運用による収入
●不動産や金などの売却による収入
●同族会社の役員が会社から受け取る賃貸料や貸付金の利息による収入

など
詳しくはこちらへ

2025年1月(令和7年1月)

2025年の変化(ヒト・モノ・カネ)

2025年は、団塊の世代(1947年~1949年生まれ)の全ての人が75歳を迎えます。全人口の約18%が75歳以上となる「超高齢化社会」に突入します。少子化もあり、労働力不足の加速が懸念されています。積極的にデジタル技術を活用して、業務の効率化・省力化を進めましょう。

(1)「ヒト」の変化
2025年は75歳以上の人口が約2,160万人になると推計されています。全人口の約18%が75歳以上となります。少子化もあり、労働力不足は加速し、人の採用が更に困難になりそうです。
懸念されているのが「2025年の崖」です。複雑化・老朽化・ブラックボックス化したシステムが数多く存在している中、システムの保守・運用の担い手(IT人材)の引退等により、2025年以降、次のようなリスクが指摘されています。
●「デジタル競争」が加速し、データ活用ができる企業とそうでない企業との差が鮮明になる
●サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブル、データ滅失・流出等のリスクが高まる

【2025年の処方箋】
□ テレワークや時短勤務等、柔軟な働き方ができる労働環境を整え、人材の確保に努める
□ 人が担うべき業務とシステムや生成AI等のデジタル技術を活用できる業務とを区分けし、合理的な人員配置を考えてみる
□ クラウド化を進め、データ共有・活用ができる環境を整える

(2)「モノ」の変化
デジタル技術を活用した「モノ」の進化は、AIの活用と密接に関係しています。AIが搭載された家電をはじめ、顔認証機能を利用した無人コンビニや駅改札等も登場しています。とりわけ、2022年11月にChatGPTが登場して以来、生成AIの進化は目を見張るものがあります。テキスト生成だけでなく、画像生成や動画生成など、分野特化型の生成AIも登場しました。今後は、「どの生成AIを」「どの場面で」「どのように活用するか」がカギになってきそうです。
また、2022年12月の航空法改正以降、「ドローン配送」の実証実験が続々と行われています。災害時の物資運搬にも期待されるドローン配送の実用化。配送ロボット、自動運転車、ドローン配送など、「モノの動き方」が更に変わる年になりそうです。

【2025年の処方箋】
□ 自身のスマホに搭載されている生成AIを試してみる
 (iPhon:Apple intelligence / Android:Google Gemini など)
□ ChatGPTをはじめとした生成AIを業務に活用してみる
□ 業務を機械化(省力化)できないか、作業工程を見直してみる

(3)「カネ」の変化
2024年8月に厚生労働省が「PayPay」を「給与デジタル払い」(「〇〇ペイ」などのスマホ決済アプリのアカウントに給与を支払う仕組み)の事業者に初指定しました。これにより、希望する会社は、従業員のPayPayアカウントに給与を支払うことができるようになりました。会社は新たにPayPayと利用契約をすることなく、従来の銀行口座への振込と同様の方法で、従業員のPayPayアカウントへ支払ができます。ただし、振込手数料は会社負担となります。「給与デジタル払い」をするには、事前に労使協定の締結などで従業員の同意を得ることなどが必要です。
「給与デジタル払い」を希望する人は就業者の約4割に上るとの調査もあり、2025年は、「給与デジタル払い」普及元年となりそうです。
詳しくは 賃金のデジタル払い(事業者向け) PayPay Webサイト

また、2026年度末までに紙の手形等が廃止される予定です。現在、紙の手形等を利用している会社では、電子的決済サービス(電子記録債権・インターネットバンキングによる振込)への移行を2025年中に本格化・完了させておきましょう。

【2025年の処方箋】
□ 「給与デジタル払い」をはじめ、キャッシュレスについての理解を深めておく
□ 「でんさいネット」が取り扱うでんさい(電子記録債権)、インターネットバンキングなどの利用を始めてみる

(4)2025年の主な制度改正
2025年に行われる制度改正・行事などをあらかじめチェックしておきましょう。

時期

制度改正・行事など


内容
春頃口座管理法の全面施行

本人の意思に基づき一度に複数の口座とマイナンバーの紐付けが可能に
3月「マイナ免許証」スタート3月24日~
4月改正育児介護休業法施行
子の看護休暇の見直し・残業免除の対象拡大など


雇用保険法改正高年齢雇用継続給付の給付率が15%から10%に縮小

高年齢者雇用安定法の経過措置終了希望する社員の「65歳までの雇用確保」の完全義務化

改正建築物省エネ法・建築基準法の全面施行全ての新築で省エネ基準適合を義務化・木造2階の戸建住宅等の建築確認手続きの見直し等

大阪・関西万博開催10月まで
5月改正戸籍法施行戸籍の記載事項にふりがなが追加表記
9月世界陸上開催東京
10月「Windows10」のサポート終了10月14日予定
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