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令和5年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まります。
売手は買手から求められたとき、インボイス(適格請求書)を発行しなければなりません。
B to C取引のように不特定多数の消費者が対象の場合の対応など、インボイスの発行にに当たって生じる疑問点を見ていきます。
Q1.レシートや領収書はインボイスになるのでしょうか?
A1.一定の事項が記載されていれば、レシートや領収書もインボイスとして認められます。
請求書、納品書、領収書、レシートなど書類の名称は問いません。
小売業、飲食店業、タクシー業、駐車場業など不特定多数の者を相手に取引する事業者の場合、インボイスの記載内容を一部省略した「簡易インボイス」(適格簡易請求書)を発行することができます。
【簡易インボイス(適格簡易請求書)とは】
簡易インボイス(適格簡易請求書)とは、小売業や飲食業のように不特定多数と取引する事業者が、以下のように記載項目を簡略化したものです。
(1)買手側の氏名または名称の記載が不要
(2)税率ごとに区分した消費税額等、または適用税率のいずれかのみを記載
つまり、小売業や飲食業などのように、レジで発行するレシート、領収書を渡している業種では、現在使っているレシートや領収書に「事業者登録番号」「税率ごとに区分した消費税額等または適用税率」の記載を追加することで、簡易インボイスとして発行することが可能です。
【インボイスの(適格請求書)と簡易インボイス(適格簡易請求書)の記載事項】※一定の事項
インボイス(適格請求書) | 簡易インボイス(適格簡易請求書) |
---|---|
(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称 及び 登録番号 (2)取引年月日 (3)取引内容(軽減税率の対象品目である旨) (4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)及び 適用税率 (5)税率ごとに区分した消費税額等 (端数処理は1請求書あたり、税率ごとに1回) (6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 | (1)適格請求書発行事業者の氏名または名称 及び 登録番号 ※赤字の部分を現行のレシートに追加する必要があります。 |
Q2.手書きの領収書は簡易インボイスになるのでしょうか?
A2.簡易インボイスとして必要な事項が記載されていれば、手書きの領収書もインボイスとして認められます。
現在の領収書に「税率ごとに区分した消費税額等または適用税率」が記載されていれば、「事業者登録番号」を追加すればOKです。
手書きの場合は、「事業者登録番号」のゴム印を使って対応できます。
Q3.コインランドリーの無人店舗で代金は機械で受け取りますが、インボイスは必要になるのでしょうか?
A3.機械装置だけで代金の受領やサービスの提供を行う場合、金額が3万円未満であれば、インボイスを発行しなくてもよいとされています。
自動販売機、コインロッカーなども同様です。
【インボイスの発行が免除される場合】
次の取引は、事業の性質上、インボイスの発行が困難なため、免除されています。
(1)3万円未満の公共交通機関(船舶、バス、鉄道)による旅客の運送
(2)出荷者等が卸売市場において行う生鮮食品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)
(3)生産者が農業協同組合、漁業協同組合、森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
(4)3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
(5)郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
Q4.スーパーのセルフレジ、飲食店の自動券売機などもインボイスの発行が免除されますか?
A4.セルフレジは、機械装置によって精算が行われるだけで、「自動販売機による販売」には当たらないため、インボイスの発行が必要です。
自動券売機も、食券の発行と代金の受け取りが行われるだけで、「自動販売機や自動サービス機を使った商品の販売やサービスの提供」には当たらないため、インボイスの発行が必要です。
Q5.インボイスの発行後に値引や返品があった場合、どう対応すればよいでしょうか?
A5.値引や返品により代金を返金する場合、「適格返還請求書(返還インボイス)」の発行が必要です。
返品、値引、割戻し、売上値引、販売奨励金など、売上に係る対価の返還を行った場合、返還インボイスの発行が必要です。
【返還インボイスの(適格返還請求書)の記載事項】
返還インボイスの記載事項は以下のとおりです。発行に当たっては、インボイスと返還インボイスを一つの書類として発行することができます。
また、取引金額と消費税額について相殺した後の金額で記載することも認められています。
(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称 及び 登録番号
(2)売上に係る対価の返還等を行う取引年月日
(3)上記(2)の返還等のもととなった売上に係る年月日
(4)取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
(5)売上に係る対価の返還等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
(6)売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額等または適用税率(両方の記載も可)
Q6.インボイスの発行後に記載内容の誤りを指摘された場合、どう対応すればよいでしょうか?
A6.インボイスの記載に誤りがあった場合、修正したものを発行する必要があります。
当初発行したインボイスとの関連性を明らかにした上で、修正した事項を明示した書類を発行することもできます。
現行では、買手による追記(「軽減税率対象品目である旨」「税率区分ごとの合計額」に限る)が認められていますが、インボイス制度では認められていません。
令和5年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まります。
それに先立ち、令和3年10月から「適格請求書発行事業者」の登録受付が始まりました。
インボイス制度が始まると、請求書の様式変更など事前準備が必要となります。
【インボイスとは】
インボイス(適格請求書)とは、一定の事項が記載された請求書、納品書、領収書、レシートなどの書類や電子データのことです。
売手(適格請求書発行事業者)には、買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるため、一定の事項※を記載したインボイスの発行とその写しの保存などが義務づけられます。
買手は、インボイスの保存だけではなく、これまでと同様、自ら作成する帳簿に一定の事項※を記載して保存することで、仕入税額控除が認められます。この消費税の仕組みをインボイス制度といいます。
【インボイスの(適格請求書)の記載事項】※一定の事項
(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称 及び 登録番号
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)及び 適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等(端数処理は1請求書あたり、税率ごとに1回)
(6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
【消費税額の端数処理に注意しましょう】
インボイス制度では、1円未満の端数は、一つのインボイスにつき、税率ごとに1回だけの端数処理となります。
一つのインボイスに記載された一つ一つの品目ごとに消費税額を計算し、1円未満の端数処理を一つ一つ行い、その合計額を「税率ごとに区分した消費税額等」として記載することは認められません。つまり、一つのインボイスでは、税率ごとの合計に対して1回だけ端数処理を行います。
また、端数処理は、切上げ、切捨て、四捨五入など任意の方法で行います。
【納品書と請求書など複数の書類で記載事項を満たすことも可能】
インボイスは一定の記載事項が記載された請求書、納品書、領収書などの書類のことですが、一つの書類のみで全ての記載事項を満たす必要はありません。
例えば、取引の都度、取引先に商品名を記載した納品書を交付し、請求書は1ヵ月分をまとめて発行するケースがよくあります。
このような場合、納品書と請求書の2種類の書類でインボイスの記載事項を満たすことができます。
例1)請求書に消費税額を記載
請求書に、(1)登録番号、(5)税率ごとに区分した消費税額等および(4)適用税率、(6)取引先名を記載します。
納品書に、(2)取引年月日、(3)日々の取引内容、(6)取引先名を記載します。
ただし、納品書番号を記載し、請求書との関連を明確化しておくことが必要です。
この場合、1円未満の端数処理は、請求書で行います。
例2)納品書に消費税額を記載
請求書に、(1)登録番号、(6)取引先名を記載します。
納品書に、(2)取引年月日、(3)日々の取引内容、(5)税率ごとに区分した消費税額等および(4)適用税率、(6)取引先名を記載します。
この場合、1円未満の端数処理は、納品書ごとに行います。
同じ取引でも、(5)税率ごとに区分した消費税額等をどこに記載するかで、税額が異なることがあります。
【インボイスの保存】
発行したインボイスの写しと、受け取ったインボイスを保存することが義務づけられます。
それと共に、次の記載事項を備えた帳簿の保存も必要です。
<帳簿の記載事項>
(1)課税仕入先の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率対象品目である旨)
(4)取引金額
インボイスに基づく正確な記帳と帳簿の保存は、帳簿の証拠力を高め、納税者を守ることにつながります。
令和3年の年末調整の資料が税務署から届いています。扶養控除等申告書、基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、源泉徴収簿は各1部ずつが封入されています。複数必要な場合は、コピーして使用するか、国税庁HPから印刷しましょう。最近は、給与計算ソフトから印刷することが多いので封入枚数が減らしてあります。
パート・アルバイトで働く人は、扶養の範囲内で働くことが多いです。所得税の扶養の範囲と住民税の扶養の範囲、社会保険の扶養の範囲は、給与収入の範囲が違います。「103万円の壁」「130万円の壁」などの注意点を説明し、パート・アルバイトの方がどの扶養の範囲で働こうとしているのかを早めに確認しておきましょう。
【妻の収入の壁と扶養の範囲】
妻の年齢が70歳未満で、夫の収入が1,095万円以下のケースだと以下のようになります。
詳細は、「夫婦の収入別 社会保険料・住民税・所得税・配偶者控除および配偶者特別控除」をご参照ください。
妻の収入 | 税金・社会保険の扶養と配偶者控除等 |
---|---|
100万円の壁 | 100万円を超えると住民税が課税される。 (自治体によっては93万円~100万円) |
103万円の壁 | 103万円までは、妻に所得税が課税されない。 夫は配偶者控除を受けられる。 103万円を超えると、妻に所得税が課税される。 夫は配偶者特別控除が受けられる。 ただし、収入の増加に伴い、10段階で控除額が減少する。 |
106万円の壁 | 従業員501人以上の企業に勤務する妻の場合は、月額賃金8.8万円以上(年額105.6万円以上)など一定の条件に該当すると、社会保険の扶養から外れる。 妻に社会保険料の支払いが発生する。 |
130万円の壁 | 130万円以上で、社会保険の扶養から外れる。 ※社会保険の130万円の算出は、通勤手当も含めて計算します。 妻に社会保険料の支払いが発生する。 |
150万円の壁 | 150万円までは、夫は、配偶者特別控除が満額の38万円を受けられる。 150万円を超えると、妻の収入の増加に伴い、配偶者特別控除の額が段階的に少なくなる。 |
201万円の壁 | 201.6万円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなる。 |
妻が従業員501人以上の企業に勤務している場合は、106万円の壁が加わります。
令和3年4月、70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。
改正前は、65歳まで雇用を確保する措置の導入が義務付けられています。
就業規則が作成されていない、定年の定めがない場合、トラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。
【定年制度】
定年制度は、従業員が一定の年齢に達したときに労働契約を終了することです。多くの企業が、就業規則に定年を定めている一方で、そもそも就業規則が作成されておらず定年が明確になっていない企業も少なくありません。このような状態は、労務上のトラブルが発生しやすいので注意が必要です。
【定年の定めがないときは?】
経験や技術を長く活かしてほしいので定年を定めていない、いわば永久雇用の企業もあります。しかし、加齢による作業効率の低下やミスの増加など、従前のように働けなくなる従業員もいます。「高齢になって元気に働けなくなった従業員との労働契約を終了するには、どうすればよいでしょうか」といった相談も増えているようです。
就業規則に定年の定めがない場合、会社と従業員の間で、退職について合意ができれば問題ないのですが、そうでない時は解雇することになります。しかし、解雇はトラブルになる可能性があり、長年の貢献を考えると解雇という手段を取りづらくもあります。
従って、労働法規に基づく定年を定めたうえで、定年後は、有期労働契約による雇用にするなどの方法を検討しましょう。
【従業員によって定年が異なるときは?】
定年の年齢があいまいな場合もトラブルに発展する可能性があります。
例えば、65歳超の従業員Aさんが雇用されている。もう一人の従業員Bさんが65歳になる時に「高齢なので退職してほしい」と言えばトラブルに発展してしまうでしょう。そのため、定年を一律65歳に定めておくなど、事前にトラブル回避の方策をとっておく必要があります。
【65歳までの雇用確保措置】
今一度、就業規則を確認してみましょう。定年が不明確であったり、労働法規に対応していなければ、整備しておく必要があります。
高年齢者雇用安定法では、60歳未満の定年を禁止しています。更に、定年を65歳未満に定めている場合は、次のいずれかの高年齢者の雇用を確保する措置(雇用確保措置)を導入して、希望者を定年後も65歳まで継続雇用することを義務付けています。
<雇用確保措置(義務)>
(1)65歳までの定年引上げ
(2)定年制の廃止
(3)65歳までの継続雇用制度の導入
(1)定年の引上げや、(2)定年制の廃止は、そのままの労働契約を継続することになります。従業員の高齢化に伴う仕事の効率性の低下、健康への配慮、人件費などの課題が生じる可能性があります。65歳までの雇用確保義務では、(3)継続雇用制度を導入する企業が多いようです。
【2つの継続雇用制度】
継続雇用制度は、雇用している高齢の従業員が希望するときは、その従業員を定年後も引き続き雇用する制度です。
継続雇用制度を導入した場合、原則として希望者全員を雇用しなければなりません。
継続雇用制度には、「勤務延長制度」と「再雇用制度」があります。
1.勤務延長制度
定年を、例えば60歳と設定したまま、定年に達した労働者を退職させることなく引き続き雇用する制度です。
業務の特殊性や業務遂行上の特別な理由により、後任の確保が難しく、従業員の定年退職によって事業の運営に支障をきたす場合を想定した制度です。雇用形態や仕事内容、役職、賃金などが大きく変わることなく、勤務する期間だけが延長されることになります。
2.再雇用制度
定年に達した従業員を一度退職させた後、正社員としての勤務ではなく、パート・アルバイト・嘱託などの雇用形態で再び雇用する制度です。
再雇用にあたり、労働条件等の見直しができるため、この制度を導入する企業が多いようです。会社と従業員が話し合って、働きやすい労働条件に見直すことができる為、双方にメリットがあるといえます。原則として、再雇用を希望する従業員は必ず雇用する必要があります。
また、トラブル防止の為、従業員との間で再雇用後の労働条件を定めた労働契約書や雇用契約書を交わしておきましょう。
コロナ禍での経営悪化を乗り切るために、新型コロナウイルス感染症特別貸付などの支援策による借入れを実行した企業は多くあります。しかし、返済時期がくれば、売上減少が続いていても借入金の返済をしなければなりません。どうしても返済が難しい場合、どうすれば良いのでしょうか。
【早めに相談しましょう】
借入金の返済に関して、長期的な見通しを立てておく必要があります。
「このままでは返済が難しいかも!?」と分かった時は、すぐに会計事務所に相談してください。相談が遅くなると、対応策も限られてきます。
また、金融機関に返済の相談をすることになれば、具体的な対応は金融機関が決めることになります。約定返済日の直前になって「返せません」と金融機関に伝えても、金融機関としては「もっと早く相談してくれれば、より良い方策を提案でいたのに…」ということになりかねません。金融機関に対しても、早めに相談することが大切です。
【条件変更には時間がかかります】
金融機関に債務条件の変更(条件変更)を申し込めば、すぐに手続きができるものではありません。基本的には、新規融資の申し込みと流れは変わらず、申し込みから契約までは一定の時間がかかります。
<条件変更の大まかな流れ>
(1)相談・条件変更の申し込み
(2)ヒアリング・審査
(3)保証協会へ通知し、承諾・保証書再発行
(4)決済
(5)契約・実行
(2)ヒアリング・審査
条件変更は、1つの金融機関だけの問題ではありません。
融資取引をする金融機関が複数ある場合は、その全ての債務を含めて条件変更することになります。金融機関同士の返済額の調整作業が必要になるため、時間を要します。
(3)保証協会へ通知し、承諾・保証書再発行
条件変更の場合、信用保証協会でも債務ごとに保証料の再計算を行い、承諾・保証書の再発行をすることになります。
債務ごとの契約なので、債務が多ければ多い程、作成書類が多くなります。よって、取引金融機関が複数ある場合、かなり時間を要することになります。
<条件変更とは>
金融機関の条件変更は、返済額の負担を軽減したい時だけ行うものではありません。
下記のような事項も条件変更になります。
・法人の代表者変更に伴う法人債務の保証人変更
・法人成りした時に個人の債務を法人に変更する
「条件変更=返済額の軽減」とは限らないので注意しましょう。
【返済を軽減する条件変更にはデメリットがあります】
条件変更をして返済額の負担を軽減した場合、条件変更後の新たな借入れが困難になります。条件変更後の経営改善計画が整備され、追加で借入れを行えば改善が図られると認められる場合は不可能ではありません。しかし、一度条件変更をしてしまうと、「当初の計画通りに返済ができなかった」という記録が金融機関にずっと残ります。たとえ当初の返済計画に戻ったとしても審査ではマイナス材料となってしまいます。しかし、条件変更後の経営改善計画をしっかり履行し、何年間か継続して業績を良くしていくことで、評価の見直しにつなげることができます。
また、条件変更をしていない他の金融機関で新規借入れの申し込みが出来るかというと、そうではありません。条件変更時に、保証協会へ通知が行われるため、保証協会は条件変更を把握しています。保証協会から他の金融機関に情報を伝えることは基本的にはありません。しかし、新規借入れの承諾を保証協会が出さなかった場合、金融機関が条件変更の事実を知る可能性があります。
どうしても資金が必要な場合、条件変更をしたメインバンクに相談しましょう。
資金の必要性を理解してもらえれば、新規の借入れができる可能性があります。
そのため、条件変更後はきちんとした経営改善計画が求められます。
【条件変更を申し込む前に債務一本化を検討しましょう】
条件変更の方法として、金融機関は下記の2つのいずれかを提案するケースが多いです。
●元金返済の猶予
… 元金の返済を止め、利息の支払いのみとする
●返済期日の延長
… 当初契約時の最終返済期日を延長する
この2つの方法であれば、毎月の返済金額が減少し、負担も大幅に小さくなるでしょう。
しかし、返済が難しいからといって、すぐに条件変更を申し込むのではなく、既存債務の一本化を検討しましょう。
<債務一本化とは>
債務の本数が多い場合、その債務残高と同等の融資を申し込み、一本の債務にすることです。そのための保証制度も整備されており、一本化して毎月の返済額を軽減することができます。
しかし、債務の種類によっては一本化の対象にならないものもあります。また、他の金融機関の債務をまとめる場合は、保証制度が利用できないなどの注意点もあります。
金融機関の審査があるので、審査結果によっては、担保を設定しなければならないなどの条件が付くこともあります。
【申し込みをスムーズにするために】
返済が困難であることを証明するために、3ヵ月~6ヵ月分の月次試算表を準備しておきましょう。試算表があると、金融機関の担当者も経営状況を理解しやすく、条件変更の申し込みもスムーズに進みます。
【経営改善計画の策定】
条件変更に伴い、金融機関からは経営改善計画や行動計画などの策定が求められます。
また、経営改善計画書どおりに経営できているかどうか、年度ごとに金融機関のモニタリングを受けることになります。その結果、安定した経営状況であると判断されれば、条件変更前の返済計画に戻ることになります。
印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する領収書や契約書などの文書に課税される税金です。
一般的には、印紙税の支払いに収入印紙を使用することが多いです。
印紙税の納税額と同等の収入印紙を購入して、文書に貼付し、消印(割印)を押すことで、印紙税を納付したことになります。
では、PDFなどの電子化された領収書や契約書に印紙税は課税されるのでしょうか。また、それを紙に印刷するとどうなるのでしょうか。
(1)印紙税が課税される文書とは?
印紙税が課税される文書(課税文書)と印紙税額は印紙税法で定められています。
具体的な文書と印紙税額は、国税庁の「印紙税額一覧表」(令和3年5月現在)で確認できます。
印紙税法に定めのない文書は、不課税文書として課税されません。
課税文書のうち、記載金額が5万円未満の領収書など例外的に課税されない文書は、非課税文書になります。
課税文書にあたるかどうかは、その文書の名称ではなく、内容によって判断されるため注意しましょう。
例えば、「契約書」という名称がなくても、内容が契約に関するものであれば、課税文書と判断されます。
【主な課税文書・不課税文書】
課税文書 | 不課税文書 |
---|---|
●不動産売買契約書 ●土地賃貸借契約書 ●金銭消費貸借契約書 ●請負契約書、請負金額変更契約書、請書 ●約束手形、為替手形 ●売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書 ●領収書(金銭または有価証券の受取書) ※課税文書のうち、金額によって非課税文書になるものがあります。 | ●物品譲渡契約書 ●建物賃貸借契約書 |
(2)契約書の控えとしてコピーした文書は課税されるのか?
契約書を1通作成し、一方が原本を所持し、他方が控えとしてコピーを所持する場合は、原本のみに印紙税が課税されます。
契約書のコピーは、正本等の単なる複写(複製)のため、課税文書になりません。
ただし、契約書のコピーに契約当事者の署名または押印のあるものや、「原本と相違がない」旨の契約当事者の証明があるものは、課税文書となり、印紙税が課税されます。
(3)PDFなど電子化された書類に印紙税は課税されるのか?
印紙税は、紙の文書に課税されます。
例えば、商品販売において、振込入金後にPDFなど電子化した領収書を電子メールで得意先に送信しても、紙の文書の交付にはならないため課税文書にあたらず、印紙税は課税されません。
ただし、電子メールで領収書を送信後、改めて紙に印刷して送る場合、課税文書として印紙税が課税されます。
(4)PDF化された領収書などを保管のために紙に印刷した場合は?
取引先に電子メールで送信したPDFデータの領収書や契約書などを、保管のために紙に印刷しても課税されません。
また、取引先がそのPDFデータを保管のために印刷しても、印紙税がかかりません。
(5)電子マネーなどキャッシュレス決済の領収書に印紙は必要か?
商品販売において、電子マネー決済が行われたときに発行する紙の領収書については、印紙税がかかります。
これは、電子マネーが現金と同様であることから、課税文書にあたることになります。
また、クレジットカード決済時に発行する領収書は、金銭の受領ではなく信用取引にあたるため、クレジットカードの利用であることが明記されていれば、課税文書にあたらず、印紙税は課税されません。
(6)領収書と一緒に明細書としてレシートを渡した時の印紙税は?
飲食店などで、領収書とは別に飲食内容の明細書としてレシートを希望する顧客に、領収書とともにレシートを一緒に渡すことがあります。
この場合、それぞれが金銭の受取事実を証明する書類となり、金額が5万円以上であれば、領収書とレシートの両方に収入印紙を貼る必要があります。
(7)印紙の添付漏れがあるとどうなるのか?
印紙税は、定められた金額の収入印紙を文書に貼り、消印(割印)を押すことで納税となります。
「課税文書でないと思っていた」「貼り忘れた」「収入印紙を貼っているが金額不足だった」「収入印紙は貼っているが消印が無かった」という場合は、ペナルティーがあります。
印紙税の調査では、故意、過失に関係なく、収入印紙が正しく貼られていなければ、原則として、納めなった印紙税額の3倍の過怠税が徴収されます。
納税者から「印紙税不納付事実申出書」を提出した場合は、印紙税額の1.1倍の過怠税とされます。
なお、過怠税は法人税法上、損金不算入となるので、注意が必要です。
新型コロナウイルスにより経営にどのような変化が生まれたでしょうか。
売上や利益、経費の変化が決算書に数値として表れたものが多くありますが、数値では見えない改善の兆しもあるはずです。
内容を分析し、良い点を見つけ、今後の経営に活かしましょう。
【売上、利益、経費を分析しましょう】
新型コロナウイルスは、経営に大きな変化をもたらしました。
影響の大きかった飲食、観光、旅行、運輸、イベント関連など集客型の産業や、その取引先は、厳しい業績となったところが多くありました。
しかし、「巣ごもり消費」「3密回避」など新しい生活スタイルに関連した製品、eコマース、物流などの業種は、コロナ禍においても業績を伸ばしているところがあります。
(1)売上アップにつながる傾向を探しましょう
新型コロナウイルスの影響を受けた年の業績は、コロナ以前と比べて売上が大きく増減しました。
数値の増減だけを見るのではなく、売上の内容について様々な視点から分析しましょう。
業績が厳しい中でも、商品やサービス、販売方法、顧客層において、売上向上につながるヒントがあるはずです。
下記の【コロナ禍での売上変化の例】を参考に、商品別、得意先別、販売方法別、顧客層別など分析してみましょう。
業績拡大につながる良い変化や傾向が見られる商品・サービスについては、その要因を分析しましょう。また、限界利益率にも着目し、主力商品の一つとして、継続・定着させていく必要があります。
今後、どのような戦略によって事業を展開するか、商品・サービスの販売方法を変えるなどの業態転換を図るか、コロナ禍での顧客意識の変化を捉えて検討してみましょう。
【コロナ禍での売上変化の例】
・下請製造業でも、最終消費者の行動変化の影響を受けることがわかった
・対面、店頭販売よりもネット販売の方が売上が大きくなった
・これまで取引のなかった顧客や業種など、新たな顧客からの受注が増えた
・顧客単価や顧客数が変化した
・新しく取り扱いを始めた商品やサービスの売上が伸びてきた
・売筋商品の順位に変動があり、商品の売上構成が変わった
・法人向けから個人向け(またはその反対)に売上がシフトしている
・消えたインバウンドに変わって、国内客が増えた
(2)コストの増減を分析しましょう
コロナ禍において、仕事量の減少や従業員の行動範囲が縮小したことで、経費の使い方に大きな変化があるはずです。
コストの増減について、売上との関連に注意しながら分析し、見極めることが必要です。
例えば、ネット販売の売上増加と、物流費や販売促進費の支出割合が見合っているかなどを分析しましょう。
コストの増減の見極めは1度きりではなく、継続的に行うことが大切です。
【コスト分析の例】
・在庫管理に目を向けた結果、仕入を減らすことができた
・品質の良い商品を安く仕入れられるようになった
・販促費、営業経費、接待交際費をあまり使わなくなったが、売上に影響がなかった
・テレワークの導入に合わせて、通勤定期代を実費精算に変更し、交通費を削減できた
・聖域なき見直しによって、家賃・水道光熱費・その他固定費を大幅に削減できた
・従業員のコスト削減意識が高まった
(3)労働環境の変化を分析しましょう
コロナ禍で業務量が少なくなった結果、労働時間が減少し、残業が大幅に削減されていませんか。
コロナ以前と現在の働き方・労働時間を比較分析し、これまでの業務の進め方や内容にムダがなかったかどうかを検証しましょう。
必要のない業務や手順をなくすなど、効率の良い新しい働き方を定着させましょう。
【労働環境の変化の例】
・仕事量が減り、残業時間が削減された
・WEBの活用が進み、出張や通勤のための移動時間が少なくなった
・従業員の有休休暇の取得日数が増えた
・出社できる時間が限られることから、業務の進め方を見直して、ムダと思える作業を減らした
・雇用調整助成金の活用で、休業しながらも雇用を維持できた
(4)資金繰りの状況を確認しましょう
昨年は、資金繰り対策に奔走した年でしたが、持続化給付金などの給付金や助成金の受給、新型コロナ関連の制度融資の活用により、売上減少はあっても、資金繰りの悪化に至らなかった企業もありました。
新型コロナ関連の給付金の終了や、制度融資の特例の縮小などにより、資金繰りは昨年と同じようにはいかないことを念頭におく必要があります。
今後の資金繰りについて、しっかり見通しを立てておきましょう。
新型コロナ関連の制度融資の据置期間を確認し、1年となっている場合は、返済原資や条件変更の可能性について検討しましょう。
新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、更なる資金調達が必要になる事態も想定されます。
追加融資や借入金返済への備えについて検討し、金融支援策についての最新情報も確認しておきましょう。
【現在の借入状況を確認しましょう】
(1)借入状況、返済予定を確認しましょう
令和2年は、新型コロナ対応融資をはじめとする資金繰り支援策を活用して、多くの企業が資金調達を実行しました。
しかし、コロナ禍の長期化により、追加融資が必要な事態も想定されます。
また、既存の借入金の返済開始時期を確認し、返済原資を検討しましょう。
追加融資への備え、借入金返済への準備として、「借入金一覧表」を作成し、借入契約ごとに、金融機関名、借入金額、借入期間、利率、毎月の返済額、返済期限、保証人、信用保証協会の有無などを整理しておきましょう。
(2)今後の追加融資は厳しくなることを想定しましょう
令和2年の新型コロナウイルス対応融資では、金融機関側に迅速な融資対応が求められ、理由が「新型コロナウイルスの影響」であれば融資が受けやすい状況でした。
今後は、「新型コロナウイルスの影響」が理由であっても、審査が厳しくなることが予想されます。
既に企業の借入金額は増加しており、金融機関は、既に融資した分を含め、追加融資分がきちんと返済されるかどうかを慎重に検討します。
企業としては、追加融資の資金使途と必要資金額、返済可能性について、資料を添えて説明することが必要となります。
(3)資金繰り表、経営計画、月次試算表の提出が重要
金融機関への説明資料としては、直近の試算表、直近と前年同月の売上高の資料、資金繰り表を準備しましょう。
必要資金額については、資金繰り表を使って具体的に説明しましょう。
返済可能性については、今後の売上改善の見通し、売上・収益の具体的な改善策を根拠として示す必要があります。それには、経営計画書を策定し、それを基に説明することが大事です。
今後の資金繰りに備えて、メインバンクや政府系金融機関などへ早めに相談しましょう。
帳簿書類の保存・整理の方法は、業種・規模により様々ですが、会社経営や法的側面からも重要な業務です。
よくある質問を通してなぜ重要かを考えてみます。
【よくある質問】
Q1. 現金出納帳や総勘定元帳などの帳簿や、請求書、領収書など書類が年々増えています。どうすれば良いのでしょうか?
A1. 帳簿書類は、ルールに基づいて秩序正しく整理・保存する必要があります。
Q2. なぜ帳簿書類の整理・保存は重要なのでしょうか?
A2. 帳簿書類が秩序正しく整理され、いつでも見ることができる状態で保管してあれば、経営判断に必要な情報をすぐに確認することができます。経理業務においても、書類の紛失や誤記、転記ミス、請求ミス、領収書の二重計上、社内不正などを起こりにくくします。帳簿書類の整理・保存がきちんとできていれば、会計の信頼性も高まります。
Q3. 帳簿書類はいつまで保存する必要がありますか?
A3. 商法、会社法では、帳簿書類の保存期間を10年と定めています。
法人税法、所得税法では、帳簿書類の保存期間は7年です。
また、青色申告法人が欠損金の繰越控除の適用を受ける場合は、10年間の保存が必要です。
消費税法では、仕入税額控除の要件として、課税仕入の事実を記録した「帳簿及び請求書等」を整理し、7年間保存しなければなりません。
税務上、帳簿書類の保存は、青色申告や消費税仕入税額控除の要件になっているため、保存を怠ると、税務調査で、青色申告お取消しや、仕入税額控除が否認される恐れがあります。10年間保存しておけば間違いないといえるでしょう。
〔帳簿書類の保存期間〕
商法 :10年
会社法 :10年
法人税法:7年
所得税法:7年
消費税法:7年
Q4. 帳簿書類の整理・保存の方法は?
A4. 帳簿書類の整理・保存の具体的な方法は企業により違いますが、基本的な流れは以下の通りです。
〔帳簿書類の整理・保存の流れ〕
(1) 受け取った請求書や領収書の内容(取引先名、年月日、金額、摘要など)に間違いがないかを納品書と突合します。
(2) 会計ソフトに仕訳入力、または、現金出納帳や伝票の起票を行います。
(3) 書類は種類ごとに分類します。例)売上請求書控、仕入請求書、現金取引関係書類、税務関係書類など
(4) 分類した書類をファイリングします。領収書は信憑書綴へ貼り、納品書や請求書などは年度ごと・取引先ごとに区分します。
(5) ファイリングした書類は、あらかじめ決めている所定の場所に保管します。
(6) 決算後は、期ごとに保管箱に入れ、法令の保存期間まで保管します。
(7) 保存期間が過ぎた書類は、社外に漏洩しない方法(重要文書処理システム等)で破棄します。契約書などの重要書類を誤って廃棄しないよう永久保存書類の保管場所は区分しておきましょう。
〔保存が必要な帳簿書類〕
帳簿:仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛表、買掛表、経費帳、固定資産台帳など
書類:決算関係書類:損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
現預金取引関係書類:領収書、小切手控、預金通帳、借用書など
その他の書類:請求書、見積書、納品書、送り状など上記以外の書類
Q5. 帳簿書類が年々増えてきて保存場所の確保が大変ですが、どうすれば良いでしょうか?
A5.帳簿書類の電子保存や書類のスキャナ保存制度の利用を検討してみましょう。
会社の大小に関わらず「現金管理」は経理の基本です。毎日、実際の現金有高と帳簿残高が一致するかを確かめることで、売上や経費の漏れがなくなります。経理業務のデジタル化、省力化をスムーズに進めるには、ルールに基づいた現金管理がきちんとできている必要があります。
【現金管理の基本】
現金の入出金、有高は、(1)事実に基づいて、(2)一定のルールに従って、(3)不正のないように企業に見合った内部統制の仕組みを構築して管理する必要があります。
【現金管理の留意点】
(1) 担当者を決め、毎日の現金の締めの時間を決める。
(2) 記帳担当者と現金管理者は、内部牽制上では別の人にする方が良い。
(3) 小口現金からの支払は、一定金額以下とし、それを超える金額のものは、普通預金からの支払いとする。
(4) 現金売上がある事業者は次の点に留意する。
・売上金は全額を銀行に預入し、売上金から経費等の支払は行わない。
・釣り銭は一定額に定める。
・レジの精算レシートがある場合、レジ内の現金有高と一致するかを確認する。
【よくある質問】
Q1. 会社の現金は社長が持っています。どうやって管理すればいいのでしょうか?
A1. 会社の現金と個人の現金を区別するために、金庫を用意します。
そのうえで、毎日、現金取引はその日の内に記帳して、日々の正確な現金出納帳を作成します。
そして、その日の締め後に金庫内の現金を数え、現金の実際の有高と帳簿残高が一致するかどうかを確かめます。
Q2. どうして毎日、現金残高を合わせる必要があるのでしょうか?
A2. 売上の計上漏れ、経費の支払処理の漏れ、社長による会社の経費の立て替えや、領収書のない支出がそのままになっていると、現金残高が合わなくなります。
現金は、預金と異なり取引記録が残らないため、後から動きを確認するのは困難となります。
毎日、現金残高を合わせていれば、売上や経費の計上漏れ、精算のし忘れがなくなります。
Q3. 残高が合っていない時、原因を調べられるようにするために毎日の残高合わせが必要なのでしょうか?
A3. 税務調査においても現金は重要な調査項目の一つです。
現金管理がきちんとできていれば、会社の現金の動きに対する会計上の仕組みが構築できていることになります。
社内の不正や誤りを発見・防止できる社内体制が整っていると、税務調査官から判断されるでしょう。
現金管理がずさんだと、売上や経費の計上にも不備がある可能性が高いと判断されてしまいます。
【現金管理の手順(例)】
(1) 現金用の金庫を準備します。
個人の現金と会社の現金を明確に区別するために、極力、社長が現金の受け払いをしないようにしましょう。
領収書のない支出は、支払証明書や仮払申請書を利用して、出金した証拠を残しましょう。
個人事業者の場合は、「事業経費」と「家事消費」を明確に区分しましょう。
(2) 入出金の都度、会計システムへの入力、または、現金出納帳に記帳します。
(3) 毎日の締め後、実際の現金有高に基づき、金種表を作成します。
(4) 実際の現金有高と帳簿残高を照合します。
(5) 実際有高と帳簿残高が一致しない場合は、原因を究明します。
それでも不明な場合は、一時的に仮払金または仮受金などで現金過不足の処理を行い、実際残高に帳簿残高を合わせます。
そして、後日、正しい勘定に振替えます。
【自社に合った経理のルールをつくりましょう】
社内の現金は、あらかじめ定めた金額の補充のためだけに預金から引き出しましょう。
現金収入は、直接預金に預け入れすることで、管理が容易になります。
現金管理のポイントは、銀行振込や振替、キャッシュレス決済を活用することで、社内での現金の受け払いを極力減らすことです。
現金の受け払いや精算が少なくなれば、記帳の誤りや計算間違い、現金の紛失などのリスクが下がります。
自社に合ったルールを作成したら、定期的なチェックを行い、ルールを徹底させることです。
【キャッシュレス決済の導入を検討しましょう】
コロナ禍における非接触の生活様式もあり、キャッシュレス決済を導入する企業が増えています。
決済会社ごとに異なっていたQRコードの統一規格「JPQR」が昨年導入され、一つのQRコードで複数の決済サービスを利用することが可能になり、より便利になります。
キャッシュレス決済は、経理業務の省力化につながりますので、導入を検討しましょう。
<キャッシュレス決済のメリット>
〔経費の支払いや社内精算を口座引落しや振込みを利用した場合〕
・現金精算や残高確認などの日々の業務が省力化され、経理ミスや現金紛失などのトラブル防止となる。
〔小売業や飲食業などレジを利用している企業が導入した場合〕
・顧客との現金のやりとりが減少し、現金管理の手間が削減される。
・キャッシュレス決済を活用する消費者が増え、それに対応した事業者が選ばれる。
個人が住宅ローンを利用して、住宅の新築・取得、または増改築等をした場合、契約時期と入居時期に応じて、年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税等から控除する制度があります。この制度の控除期間が10年から13年に延長される特例(消費税率10%が適用される住宅の取得)で、入居期限の延長や床面積要件が緩和されます。
【住宅ローン控除の特例措置】
項目 | 概要 |
---|---|
契約期限 | 新 築:令和2年10月1日~令和3年9月30日 |
入居期限 | 令和3年1月1日~令和4年12月31日までに入居 |
床面積要件 | 40㎡以上(改正前:50㎡以上) |
適用期限 | 合計所得金額が3,000万円※を超える年は控除不可 |
控除期間 | 13年間 |
控除額(1) | 1~10年目:年末借入金残高(4,000万円を限度)×1% |
控除額(2) | 11~13年目:住宅の税抜の購入価額(4,000万円を限度)×2%÷3 |
令和3年4月1日から令和5年3月31日まで「所得拡大促進税制」の適用期限が2年延長されると共に、要件の見直しが行われます。
「所得拡大促進税制」は、中小企業が、従業員への給与等を前年度より増加させ、一定の要件を満たす場合、その増加額の一部を税額控除(法人税額の20%が上限)できる制度です。
今回の改正で、継続雇用者※の概念が廃止され、単純に雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で増加していれば、適用できるように要件の見直しが行われました。
※継続雇用者:前期と当期の2期にわたり給与等の支給を受けた国内雇用者
【通常要件の見直し】
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
要件 | 継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上かつ、 雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度以上 | 雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上 |
税制措置 | 雇用者給与等支給額の増加額の15%を税額控除 ※法人税額の20%が上限 | 雇用者給与等支給額の増加額の15%を税額控除 |
【上乗せ要件の見直し】
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
要件 | 継続雇用者給与等支給額が前年度比2.5%以上で、 下記(1)(2)のいずれかを満たすこと (1)教育訓練費が対前年度比10%以上増加 (2)中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実になされていること | 雇用者給与等支給額(企業全体の給与)が前年度比で2.5%以上で、 |
税制措置 | 雇用者給与等支給額の増加額の25%を税額控除 (税額控除率15%に10%を上乗せ)※法人税額の20%が上限 | 雇用者給与等支給額の増加額の25%を税額控除 (税額控除率15%に10%を上乗せ)※法人税額の20%が上限 |
令和3年4月1日から、値札やメニュー表、チラシ、カタログ、ホームページなどの価格の表示方法は、消費税を含んだ「総額表示」が義務付けされます。
【総額表示とは】
消費者が商品を購入する際の誤認防止のために、値札やメニュー表などの価格表示を、消費税を含んだ支払総額が分かるように記載することを義務付ける制度です。
しかし、消費税が8%から10%に増税された時、値札の変更等の企業負担を軽減するための特例措置として、令和3年3月31日までは、誤認防止措置をとれば税抜表示も認められていました。令和3年4月1日からは「総額表示」が義務化されます。そのため、現在「税抜表示」の値札やメニュー表などを使用している場合は、値札の貼り替えや印刷物の差し替えなどを行う必要があります。
【総額表示の正しい表記方法】
令和3年4月1日以降は、商品の値札には消費税を含んだ支払総額を記載する必要があります。
下記の例を参考にして値札の表示を修正しましょう。
誤りの例 | 正しい例 |
---|---|
●10,000円(税別価格) ●10,000円(本体価格) ●10,000円+消費税 ●10,000円(表示価格は税別です) | ●11,000円 ●11,000円(うち消費税1,000円) |
現状、総額表示義務を怠ったことに対する罰則はありません。また、見積書や請求書等の金額表示や業者間取引(B to B取引)では総額表示義務の対象にはなっていません。しかし、令和5年10月1日から始まるインボイス制度を見据えて、値札やチラシだけでなく、見積書や請求書等の金額表示も併せて直しておくとよいでしょう。
【インボイス制度】
令和5年10月1日から、消費税の仕入税額額控除の方式として「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が導入されます。適格請求書を交付できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られます。「適格請求書発行事業者」になるためには、令和3年10月1日から登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
【適格請求書(インボイス)とは】
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
<売手側>
売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。
また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります。
<買手側>
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の(確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
詳しくは国税庁HPへ
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が厳しい経営を強いられています。
しかし、何も手を打たなければ、業績が回復することは期待できません。
売上内容を、得意先別、商品別など分類別に分けて確認し、コロナ禍前後で何がどう変化したのかを分析すると、経営戦略や経営計画につなげていくことが出来ます。
【売上を「得意先別」に分析しましょう】
新型コロナウイルスの影響で、年間売上が前年比60%に落ち込んだとします。
しかし、月別で見ると前年比90%の月もあれば、前年比30%の月もあるというように、減収の幅は均一ではないはずです。
また、「得意先別」や「商品別」で見ても、全てが40%減少ではないはずです。
コロナ禍でも、売上が伸びた得意先や商品もあるでしょう。
まずは、以下のような着眼点を参考にして、売上を得意先別に分析してみましょう。
【得意先別売上分析の着眼点】
(1)1年を通して、コロナ禍前と売上がほぼ変わらなかった得意先はどこか
(2)令和2年後半に、売上が回復している得意先はどこか
(3)コロナ禍前よりも、売上が増加した得意先はどこか
(4)令和2年後半以降も、売上が落ち込んだままの得意先はどこか
(5)得意先別の売上順位の変動はあるか
(6)国内と海外の得意先で変化はあるか
得意先別に分析すると、どの得意先がコロナ禍の影響を受けているかが明確になります。
上記の着眼点(1)~(3)の得意先は、比較的コロナ禍の影響を受けにくいので、より一層販売強化をして、売上を安定させる対策を考えましょう。
反対に、着眼点(4)の得意先はコロナ禍の影響をダイレクトに受けます。
着眼点(5)(6)の変化によっては、販売戦略の見直しが必要になります。
全体の売上数値だければ、実態が見えてきません。売上内容を詳細に分析することで、コロナ禍における自社の強みや弱みを把握でき、今後の戦略に役立てることができます。
【「商品別」「限界利益(率)」も分析しましょう】
「得意先別」の分析をした後は、「商品別」に分析しましょう。以下のような着眼点を参考にします。
【商品別売上分析の着眼点】
(1)商品の売上順位に変動はあるか
(2)新商品や定番商品は売れているか
(3)コロナ禍前と、商品の売れ筋はどう変化したか
(4)売れ筋商品の価格帯や購買層はどう変化したか
(5)通販などのEC取引での売上が伸びている商品は何か
売上を商品別に分析すると、コロナ禍前後で売れ筋商品が変わったり、意外な商品の売上が伸びていたりと変化が見えてきます。
中には、販売先が企業から一般消費者へと変化した商品もあるかもしれません。
こうした変化を見極め、今後どの商品の販売に注力するのかなど考えます。
「得意先別」や「商品別」の売上の変化は、感覚的に捉えるのではなく、数値データの見える化をして分析することが大切です。
また、分析結果は社内で情報共有し、方向性を確認していきましょう。
限界利益(率)の高い商品や得意先の売上を増やすことができれば、全体の売上が伸び悩むなかでも、必要な利益を確保することができます。
限界利益(率)を高めるにはどうしたら良いのか、具体的な方策を検討しましょう。
【分析結果を目標設定(経営計画)に活かしましょう】
売上分析をして満足してはいけません。
分析結果を、経営戦略や目標設定(短期計画、中期計画など)に活かすことで業績回復につながります。
【経営計画策定の支援制度】
資金繰りや売上減少への不安がある、経営改善を図りたい、という経営者のために、国の経営計画策定の支援制度があります。
専門家の力を借りて経営を見直したい、金融支援を伴う経営改善を図りたい中小企業に対して、国が補助金を出します。
「早期経営改善計画策定支援」と「経営改善計画策定支援」の2つです。
どちらも税理士等の認定支援機関が、計画策定の支援とモニタリングによる計画の進捗と改善状況の確認をします。
経営計画の作成方法が分からない、何から手をつけて良いか分からないなど、経営計画策定に自信が無い方は利用してみてはいかがでしょうか。
下記は2つの支援制度の主な違いです。
早期経営改善計画策定支援 | 経営改善計画策定支援 | |
概要 | 金融機関への返済条件等を変更する必要がないうちに、経営の改善を支援 | 金融機関への返済条件等を変更し、資金繰りを安定させながら、経営の改善を支援 |
目的 | 客観的な経営状況の把握と金融機関との関係づくり | 金融支援を取り付けるとともに、それによる業況改善の可能性と自社の取組みを対外的に示すこと |
計画書の内容 | 計画損益計算書(PL) 計画期間:1~5年で任意 | 計画財務3表(PL、BS、CF) 計画期間:5年程度 |
金融支援 | 不要 | リスケや新規融資などが必要 |
同意確認 | メイン金融機関へ計画を提出し、受取書を取得 | すべての取引金融機関へ計画を提出し、同意書を取得 |
モニタリング | 1年後に1回のみ | 1~12か月ごとに3年間 |
補助金 | 費用の2/3(最大20万円) | 費用の2/3(最大200万円) |